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川淵三郎氏 「イチかバチかの人生を歩んできた」

思い出のナプキンを手にした川淵三郎氏

 グラビア写真界の第一人者、渡辺達生氏(69)が還暦を迎えてから力を注いでいるのが、“人生最期の写真を笑顔で撮ろう”とのコンセプトで立ち上げた『寿影』プロジェクトだ。『寿影』とは、渡辺氏による造語で、商標登録されている。葬儀で使用される『遺影』の“遺”の文字には暗くて辛気臭いイメージがあると感じていた渡辺氏は、代わりにこれまでの人生を祝う意味を込めて、美しい響きを持つ“寿”を選んで命名した。

 渡辺氏は、自然な笑顔を引き出すべく、撮影する人に「一品」を持ってきてもらって、それにまつわるエピソードを聞きながら撮影する。Jリーグ創設など日本サッカー界に多大なる貢献をした川淵三郎氏(81)が持ってきたのは、レストランのテーブルなどに置いてある、布ナプキンだ。

 サッカーW杯2002年大会の招致活動で世界中を飛び回った川淵氏。感慨深く手に持つのは、1996年2月、アルゼンチンでの会談で南米連盟3票の獲得に成功した際、その証となるサインが記された食卓の布ナプキンである。

「レオス会長、フィゲレド副会長、デルーカ専務理事のほか、その場に集った要人たちの血判状代わりの署名です。南米は日本を支持してくれるという確信が得られたことに、感激と安堵を覚えたのを今でも忘れません」

 Jリーグ、Bリーグ創設の立役者。今も競技の垣根を越えて組織改革のリーダーシップを発揮しているが、逆境に直面するたびに、母の言葉を思い出す。

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