国内

東京マラソン成功背景に警備の存在、AIやドローンも活用

警視庁と連携して危機管理講習会も

 2月25日、第12回目の開催となった東京マラソンは、箱根駅伝で東洋大学を優勝に導いたエース・設楽悠太(26才)が2時間6分11秒で2位となり、日本記録を16年ぶりに塗り替えたことが話題に。記録はもちろん、賞金1億円が贈呈されることもあって、例年以上に東京マラソンが大きなニュースとなった。

 そんな近年注目度の高い、東京マラソンの警備態勢はどうなっているのだろうか?

◆海外大会の視察や「危機管理産業展」など最新の警備態勢の情報収集

 東京マラソン財団・経営管理本部長の酒井謙介さんは、「海外のマラソン大会にも視察に行き、どのような警備態勢をとっているか実際の現場を見ることもあります」というが、海外と日本では勝手が違うこともある。

 最新の情報をアップデートしながら、東京マラソンに合った警備態勢はどのように実現されるのか。

「近年、都市型マラソンで気をつけたいのは車両の突入です。コースのすぐそばを多くの車両が通行する場所もあります。海外では大型のゴミ収集車で道を塞いだり、銃を構えた警察官が立つ、といったことも見受けられますが、日本ではなじみませんよね。

 最新の防災・防犯グッズが並ぶ展示会に足を運び、見つけたのがイスラエル製の車両突入防止用バリアです。パワーは強力で見た目の圧迫感もない。ランナーや沿道の安全も守り、雰囲気も壊さない優れもの。警察や警備会社と相談しながら大会にふさわしい安全を追求します」(以下「」内、酒井さん)

◆警察や警備会社だけじゃない地元との連携があってこそ

 都心を走るマラソン大会では、コース周辺の商店街や店舗にも影響が出る。事前にダイレクトメールなどで交通規制の情報を送り周知徹底をお願いするほか、地域の見守りにも協力を仰ぐ。それが警備強化にもつながっている。

「ご協力いただける町会さんには、見回りなどをお願いしています。いつもは何もない場所に不審に思われる物があるなど、いつもそこに住んでいる人だから気づいてもらえることがあります」

◆当日の監視カメラは100台以上。AI導入でさらなる精度向上に期待

 大会当日、コース周辺の各所に監視カメラが設置される。大会当初、約20台だったその数は今や100台以上に。警視庁のランニングポリスも小型カメラを携帯し、コース上をくまなくチェック。そして期待されるのが、最新技術・AIの導入だ。

「監視カメラ上で何度も同じ場所を通過する人物や、一定の場所に長時間置かれている荷物など、不審物を発見し通知するアラート機能などです。まだ試験段階ですが、今後は活躍の場が広がるかもしれません」

◆ドローンも監視大会前日には入念なコースチェック

 テロ対策講習会や、最新技術導入など、年間を通して警備態勢は整えられていき、前日にはいよいよ“最終仕上げ”となる。

「周辺や道路に危険物がないかなど、コースチェックを行い、規制の準備を整えます。前日には夜間巡回警備を行うと共に、大会当日も小型カメラを携行した警備員が巡回を行っています。当日、警備・誘導にあたる要員は約6000人にのぼります。また、ドローン監視システムを設置するなど、空からの不審物の動きにも目を光らせています」

※女性セブン2018年4月12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン