足腰の衰えから、斎場に入る途中で転倒した70代の住職のケースでは、「起き上がれなくなって担架が運び込まれる事態になり、遺族がほったらかしにされた」(都内の寺院関係者)という。
高齢住職がリタイアしないのは“住職には定年がない”ことが大きい。檀家も経験が長く、位が高い僧侶をありがたがるため、住職が引き際のタイミングを逃しやすい面もあるという。
◆法話で愛人の存在を暴露
トラブルの中には“ハプニング”と片付けられないケースも。故人と生前から親交の深かった78歳の住職が法話中に「愛人」の話を始めたというのだ。
「“愛人がいた”といったレベルではなく、馴れ初めから逢い引きの際の決め事など生々しい内容を話し続けるのです。喪主の奥さんは卒倒寸前。参列者もざわつき、気まずい空気が斎場を覆いました」(中部地方の葬儀会社関係者)
法話を終えると、遺族が住職を問い詰めたが、ニコニコして悪びれた様子は微塵もない。怪訝に思い、付き添いの者に質すと“住職は軽度の認知症で……”と困り顔で話したという。大阪市にある西山浄土宗・泰聖寺住職の純空壮宏氏が語る。