「認知症の住職が、葬儀や月命日のお参りなどを忘れたという話をよく聞きます。高齢の住職がお墓への納骨日を忘れたケースもあります。当日、遺族がお寺に着いても住職は出掛けてしまっていて連絡がつかない。遠方に住む遺族は出直すわけにもいかず、仕方なく墓地の管理人がお経のCDを流したそうです」
トラブルが絶えない背景には「後継者不在」も影を落としている。代わりがいないため、檀家はハラハラしつつも高齢住職に任せるしかないというわけだ。『心が軽くなる仏教とのつきあいかた』などの著書があるファイナンシャルプランナーの勝桂子氏が話す。
「住職の半数以上は平均年収が300万円以下で、専業で成り立っているのは4割程度。檀家は減る一方なので後継者を無理に探さないなど世代交代できないお寺も多い。後継者や副住職もいない“ひとり住職”のお寺が増えている」
自分が現役引退すれば廃寺となりかねないため、体が動く限りは頑張る道を選択するが、葬儀や法事を頼んだ遺族にとっては“トラウマ”になることもある。
※週刊ポスト2018年4月27日号