例えば、某大手ドラッグストアは上位ランクの店舗は月間3億円の売上高があるといわれており、年間で35億円前後の売上高がある。通常、アパレルブランドショップでは年間3億円の売上高で「優良店」と言われるので、ドラッグストアはその10倍以上の売上高があるということになる。これなら、たしかに高額化した家賃でも軽々と支払える。
また不動産関係者によると、売り上げ好調のドラッグストアの進出が相次ぎ、心斎橋筋商店街の土地価格も跳ね上がり続けているという。ドラッグストアは家賃が高くても店舗をどんどん出店してくれるからだ。
もう2年ほど前に売り上げ不振で閉店した「スーツカンパニー心斎橋店」の跡地もドラッグストアの「ダイコクドラッグ」が出店しているし、「ジーユー」の斜め前にもいつの間にかドラッグストアに変わっている。
現在の心斎橋筋商店街にはマツモトキヨシ、ココカラファイン、コクミン、ダイコクドラッグ、ツルハドラッグ、サンドラッグと、ドラッグストア各社が軒を連ねており、すっかり“ドラッグストア商店街”と化している。
これは大阪だけではなく、ほかでも見られる現象だそうで、例えば名古屋の繁華街の栄地区では撤退した「オールドネイビー」跡地も「ゼニア」跡地もドラッグストアが出店しており、ドラッグストアの勢いは全国的にとどまるところを知らないようだ。
これを裏付けるのがドラッグストア全体の売上高の伸びである。ご存知ない方もおられるかもしれないが、現在のドラッグストア全体の売上高は、百貨店全体の売上高よりも大きいのである。
2017年春に発表された2016年度のドラッグストアの全体売上高は約6兆5000億円(前年比4.9%増)となった。一方の百貨店売上高は5兆9780億円(同2.9%減)となり、ドラッグストアの方が百貨店よりも5000億円も売上高が大きくなってしまった。
この傾向はさらに続いており、2018年春に発表された数字によると、2017年度のドラッグストア売上高はさらに伸びて5.5%増の6兆8504億円となったが、2017年度の百貨店売上高は0.4%減の5兆9532億円に低下した。ドラッグストアと百貨店の売上格差はさらに9000億円にまで広がっている。
2018年度の売上高がどうなるかはわからないが、ドラッグストアの勢いは続いており、全体売上高はついに7兆円を越えると見られている。