これら以外にも、今年2月からヤフーの連結子会社になったジャパンネット銀行(2000年設立)や三菱UFJ銀行とKDDIの折半出資のじぶん銀行(2008年設立)もあり、それぞれヤフーショッピングやヤフーオークション、auのユーザーにはメリットはありそうだが、それ以外に特筆すべきものはそれほどない印象だ。
ということで2011年の大和ネクスト銀行以来、めぼしい新興の銀行はなかったが、今年から来年にかけてはGMOインターネットやローソンといった“ニューカマー”の登場で、消費者にとっても期待がかかる。
なぜなら、新しく銀行を設立すると多くの場合、預金集めや認知度向上といった目的で、預金金利を高めに設定するキャンペーンや、各種手数料も一定期間は優遇キャンペーンを実施する可能性が高いからだ。
まずこの7月からサービスインするのが、GMOあおぞらネット銀行。まだ詳細はわからないが、GMOインターネットの取引企業を主眼に置いたB2Bの色彩が濃い銀行になるという触れ込みの一方、グループにネット証券を持つGMOだけに、住信SBIや大和ネクスト、楽天銀行同様、証券口座と紐付けて個人投資家にも使い勝手の良いサービスを出すはずだ。
それ以外にも、IT企業の大手で仮想通貨ビジネスにも注力するGMOだけに、仮想通貨決済なども含めて、何かサプライズを出してくるだろう。また、GMOインターネット自体も、遡るとイーバンク銀行(現・楽天銀行)に2004年に資本参加し、その後2006年に追加出資して同行の筆頭株主となるも2007年に株を売却した過去があり、捲土重来の銀行ビジネスでもある。
そしてもう1つが、流通系ではセブンやイオンに次ぐ3例目となる、ローソン銀行。今年度中の開業を目指し、こちらもまだ詳細は不明だが、セブン銀行のようなATM特化型になるのか、あるいはイオン銀行のようにフルバンクとして間口広くやるのかも興味深い。
可能性としてはセブン型のほうが高いが、キャッシュレスやAI、IoTなどのうねりの中で、セブン銀行ですら「脱ATM」的なビジネスを本格的に模索しているだけに、この機に周回遅れで参入してくるローソン銀行が、どんなビジネスモデル、どんな差別化サービスで挑んでくるのか注目される。
●文/河野圭祐(ジャーナリスト)