本書を読んでいると、日本はもはや、まるである一族とその関係者で作る上流階級が権力を牛耳り、利益をほしいままにしているようにさえ見えてくる。「私は民主主義の国に住んでいたのではなかったのか」と愕然とする。
国の内外からそんなあり方に疑問や怒りの声が上がっている。遅ればせながらとはいえ、安倍政権への抗議集会が毎週のように全国のあちこちで開かれ、「お友だち」に支配されていた放送局でも心ある人たちが政権を批判する視点での報道を行なうようになってきた。行間から伝わってくる「自由が危うくなる前に」という著者の切迫感を共有してもらいたい。
※週刊ポスト2018年5月25日号