国内

小学校の英語とプログラミング学習、池上彰氏らの考えは

小学校からの英語教育に池上氏は反対

 小学校の教育内容が大きく変わる。今年4月から道徳がスタート。2020年から「外国語活動」も英語として教科化され、プログラミングも始まる。

 小学校の英語教育は現在、5・6年生を対象とした「外国語活動」がすでに導入されている。早稲田大学教職大学院客員教授・開智国際大学教育学部准教授の遠藤真司さんはその活動内容について、こう語る。

「ゲームや歌で英語に慣れ親しんでもらうことを目的にしています。年間35単位、週1回程度の時間を割いて、話すこと、聞くことが中心でした」(遠藤さん)

 中学生からの本格的な授業に備え、英語に慣れ親しむ時間だ。2020年度からはこの外国語活動の対象が3・4年生となり、5・6年生に対しては教科としての「外国語」が始まる。背景には急速に進むグローバル化があった。

「英語が万国共通のコミュニケーションツールとなり、これまでの単語や文法を詰め込むスタイルでは“使えない英語力”しか身につかないのではないかと疑問が持たれるようになりました。小学生のうちから英語に親しめるように話すこと、聞くことからスタートし、2020年度からの『外国語』では、文字を読むこと、書くことも学びます。時間も年間70単位と倍になる予定です」(遠藤さん)

 そして、ジャーナリスト・池上彰氏はこう見る。

「今、中学校や高校で教えられる英語教育のレベルは決して低くはなく、英語を小学校から教えることについて、個人的には反対です。まずは母語(日本語)をしっかり身につけなくては、日本語も英語も、どちらも中途半端になりかねません。たとえ『しゃべる力』がついても問題はしゃべる中身。話すべき内容を持っていなければ会話になりません。まずは母語で物事をしっかり考える力をつけることが大事だと思います」

 英語と同様、2020年から導入される目玉が「小学校プログラミング教育の必修化」だ。お掃除ロボットや、音声認識搭載のスピーカーなど、生活に身近になってきたAI(人工知能)技術の台頭が関係している。

「AIの進化・発達により、今後数十年で失われていく仕事があるといわれています。こうした進化に適切に対応できる人材を育成していかなければならない、という狙いがあります」(遠藤さん)

 加えて情報通信技術(ICT)分野で活躍する人材の育成を図るという目的もある。いったいどんなことを学ぶのか?

「“プログラミング的な思考方法を育てる教育”を学校の中でも取り入れようということで、プログラミングそのものを学ぶわけではないんです。道徳や外国語のように教科でもありません」(遠藤さん)

 パソコンソフトを操作したり、指示系統や命令系統をゲームで学ぶことで、論理的思考を育むことが当面の学習内容となる。

※女性セブン2018年5月31日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト