もう1人の有力候補、森信親・金融庁長官(時事通信フォト)
そうした手腕を菅氏は高く評価し、異例の3年間にわたって金融庁長官に留任させ、この夏の人事で勇退が有力視されている。
「森氏はもともと財務官僚だが、片道キップで金融庁に移籍したから財務省にとっては外様になる。菅さんにすればそれが都合がいい。辣腕家の森氏を財務事務次官に起用し、財務省改革の大鉈を振るわせるつもりではないか。そうなれば財務省の本命である岡本氏の将来の次官の芽も消える」(自民党政調幹部)
浅川氏と森氏による次官レースは麻生氏と菅氏のどちらが財務省のヘゲモニーを握るかという代理戦争の様相を呈しているのだ。
そうした人事抗争で弾き飛ばされそうなのが「クソ野郎」発言で物議を醸した“首相お気に入り官僚”の矢野康治・官房長だ。福田淳一・前財務次官のセクハラ問題で「(被害女性が)名前を伏せておっしゃることがそんなに苦痛なのか」と答弁したことが報道で批判されたことに対し、矢野氏が「ほとんどクソ野郎という感じで(自身が)報道された」と発言した問題だ。
東大出身者が主流の同省にあって、矢野氏は一橋大学出身。首相と同じ山口県出身であることが追い風になったのか、将来の次官コースである官房長に出世し、現在は事務次官代理として省内調査の責任者でもある。
霞が関にはその矢野氏の降格説が流れている。