「矢野氏は省内調査が終われば、改竄事件の本丸である近畿財務局長に赴任して一連の不祥事の立て直しにあたると囁かれています」(内閣府関係者)
官房長から近畿財務局長に回れば、人事の序列から言えば“3階級降格”になる。安倍首相の庇護がなくなったのか、それとも首相に同郷の官僚を守る力もなくなったのだろうか。各省庁はそうした財務省人事に重大な関心を寄せている。元文科官僚で京都造形芸術大学教授の寺脇研氏が指摘する。
「次官空席など過去に例がない事態です。週2回の事務次官会議では各省の次官同士が政策の議論や折衝、調整を行なうが、財務次官不在の影響は深刻。代理の官房長が出席しても、省の事務方の責任者ではないために他省庁の次官にすれば心許ない。重要な決定はできないのではないか。そもそも財務省がしっかりしてくれないと、予算は組めないし、財政再建もできない。財務がダメになれば、霞が関全部がダメになっていくわけです」
裏を返せば、文書改竄問題でボロボロになっていても、政治家にとって「最強の官庁」の財務省を押さえれば、霞が関全体に睨みを利かせることができるということだ。
※週刊ポスト2018年6月8日号