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サッカーW杯 西野監督の「試合勘」を心理士が読む

 勘は全体を即座に把握し、感じ取るという直観的な能力でもある。試合中、対戦相手の戦い方に対し、個々の選手のプレーを判断して全体を見て、閃きある采配が瞬時にできるところまで己の勘を磨き上げるには、いかんせん時間が足りない。勝負にこだわってきた西野監督だからこそ、己の勘は何よりも重要なはずだ。だからこそ代表選手には、未知の期待や有望性より、予測可能で確証が持てるパフォーマンスと対応力が必要だったのだろう。

 代表となった23人にベテランが多く、選手としての実績や経験が重視される形になったのには、そんな理由もあるのではと思う。ゴールキーパー以外は、選手たちのポジションを明確にせず、フィールドプレーヤーとして名前を挙げたのも、チームとしての全体像を見通すだけの勘が、まだ十分ではないからではないだろうか。

 監督は、代表選考に携われることを「嬉しく思っている」と暗く陰鬱な表情で語っただけでなく、「自信を持ってリストに挙げた」とわずかに首を右に傾げていた。その暗い表情に、見ているほうとしては先行きの不安を感じてしまう。アトランタオリンピックで「マイアミの奇跡」を起こした経験があるからこそ、今の状況に対するストレスも大きいのだろう。

 ともあれ、開幕まで残り2週間あまり。果たして西野ジャパンに「ロシアの奇跡」はあるのだろうか?

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