スポーツ

サッカーW杯 西野監督の「試合勘」を心理士が読む

西野ジャパンの命運やいかに?(公式サイトより)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、サッカー日本代表を率いる西野朗監督に注目。

 * * *
 ロシアワールドカップに向けた最終メンバー23人が発表された。選ばれたメンバーは大方の予想通り、そこにサプライズはなかった。

 前日5月30日に行われたガーナ代表との国際親善試合。選考テストの意味があると西野監督が話していたが、日本は0-2で完敗した。ハリルホジッチ前監督の突然の解任を受け、西野監督が就任したのは4月。選手たちを招集してメンバーを選出、9日前からキャンプをスタートし、新しい戦略やシステムを目指していたという。それがチームとしてうまくいくのかどうか、西野監督自身、不安が大きかったのだろう。

 試合前の会見では、「明日のゲームに向けて」「代表チームらしい戦いをしたい」と身体を大きく左右に揺らし、無意識のうちに不安をのぞかせていた。ゲームを「楽しみ」と言いながらも口元に力を入れてグッと引き締め、楽しみよりストレスの強さを感じさせる表情だった。

 そんな不安が的中したのか、試合は散々な結果に。試合後の会見では「勝つことを前提としていたので残念」と身体が大きく左右に揺れる。想像していた以上の残念な結果に、視線も揺れれば身体も揺れ、焦りと余裕のなさが見えてくる。それでも代表選手の選考については、「ゲームで確認できた中で決めたい」と語っていた。

 あるメディアがこの会見での西野監督の発言を取り上げ、監督の試合勘に対する不安について書いている。監督として数々の実績を積み重ねてきた西野監督だが、ここ数年はブランクがある。自身の不安要素を「ゲームはこういう流れで、こう入っていたんだなと感じさせられた」と言い、さらに改善や修正してきたいプレーについても、「自分の頭の中もスピードアップしなければならない」と語っていたのだ。

 勘は経験則による感性と創造する際の閃きからなるといわれる。勝負師の勘、職人の勘といわれるが、無数の経験やバラバラの知識につながりをもたせてギュッと圧縮してまとめ、目指す方向や対象を把握して創造し、判断やパフォーマンスに変えていく能力が勘だという。こう書くと、一人ひとり選手を招集して代表チームをつくり上げて勝利を目指すのと、勘の能力が出来上がるプロセスはどこか似ている。

 西野監督の発言を踏まえると、自らの勘がまだ完全に取り戻せておらず、選手それぞれに対する知識もまだ十分ではなく、選手に対する勘も働いていないようだ。そのため目指す方向に選手を動かす判断スピードが頭の中で追いつかず、閃きにつながらないのだろう。勘を取り戻すだけでなく、新しいチームへの知識を上書きする必要があるからだ。

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン