実はスバルの先代の「XV」にもハイブリッドが用意されていましたが、そのシステムのモーターも同様に小さくて、「EV走行」は、ごく一瞬しかできませんでした。つまり、新しい「フォレスター」のハイブリッドも前と同じように「EV走行」は、ほとんどできないのではないでしょうか。
そしてモーターの力が弱いということで、平均速度の高いWLTCの郊外や高速道路モードでは、エンジンの排気量が小さいというハイブリッドの特徴が悪い方向に働き、燃費数値の悪さとして出てしまったのではないでしょうか。
つまり、新型「フォレスター」のハイブリッドは、トヨタの「プリウス」のように電気の力をバリバリ使って走るものではないというわけです。新型「フォレスター」はあくまでも、エンジンが主体というクルマだったのです。では、ハイブリッドにする意味はどこにあるのでしょうか。
まだ、ハンドルを握ったわけではありませんので断定はできませんが、メリットは、「上質感」になると思います。発表された数値を見ると、ハイブリッド用のエンジンは、ガソリン・モデルよりも最大トルクが発生する回転数が低く設定されています。また、モーターは低回転域が最も得意なところ。
つまり、ゆっくり走っている時や、ゼロからの加速は、ハイブリッドの方が静かで力強くなります。走行全体としても、ハイブリッドはエンジン回転を低く抑えられるので、全体として静かで振動の少ないクルマにすることができるのです。
実際に旧「XVハイブリッド」も、そういうキャラクターでした。ですから、新型「フォレスター」も同様のキャラクターになるのではないでしょうか。また、ハイブリッドはエンジンが小さく軽いので、それがハンドリング面に良い効果を表すのではないでしょうか。ハンドルを切ったときの反応が素早く、その後の姿勢変化も早く落ち着くはず。すっきりと素直な動きもハイブリッドの魅力になるでしょう。
ちなみに、4月に開催された北京モーターショーでは、新型「フォレスター」だけではなく、「XV」にもハイブリッド版が展示されていました。また、現地での呼び名は日本の「e-BOXER」とは異なる、「インテリジェント・ボクサー」というものでした。
現在、日本の「XV」にハイブリッドはラインナップされていませんが、ニーズがあれば「XV」のハイブリッド化も可能ということでしょう。それとも、「XV」の商品力テコ入れのため、後に「XV」ハイブリッドを投入するのかもしれません。