ライフ

一休さん 酒や女におぼれた破天荒坊主だった

破戒ぶりがすさまじい一休さん(AFLO)

 屏風の中の虎を出せ、など無理難題を押しつけられても、とんちで切り抜けるかわいらしい小坊主のイメージが強い一休さん。しかし、現実の一休宗純は、僧侶に戒められている物事をことごとく破るような、破戒僧だった。『ざんねんな日本史』(小学館新書)を上梓した歴史作家の島崎晋氏が、その知られざる顔を紹介する。

 * * *
 どんな問題も知恵を使って穏便に解決させる愛くるしい小坊主。テレビアニメの『一休さん』の主人公はそのように描かれ、ユーモア溢れる解決方法とほのぼのとした雰囲気も手伝って、日本だけでなく、広く世界中で愛されている。

 この愛されキャラが実在の人物の子供時代という設定であることは、あるていど知られている。しかし、モデルとなった一休宗純という禅僧については語られることが少ない。その理由は、アニメの一休さんと現実の一休宗純とのあいだのギャップが大きすぎるからかもしれない。

 実在の一休はただ頭がよいだけではなく、飲酒や肉食もすれば、女犯はおろか男色にも走る破天荒な僧侶だった。

 ひいき目にみれば、一休は権力者や既存の大寺院を嫌い、清貧と反骨に終始した人物。あくまで庶民目線の生涯を送り、「一休」という法名にも、煩悩と悟りの狭間で一休みするという意味が込められている。飲酒や女犯の禁を平然と破ったのも、虚飾や偽善に対する反抗心の表われだったのだろう。

 一休の凄いところは、これらの行状を隠すことなく、それでいながら立派な禅僧、一流の文化人として、誰からも一目置かれていたことにある。

 殺人や窃盗、虚言を除き、仏教の上で破戒とされる行為にことごとく手を染めながら、その名声にいささかの揺らぎもなかったのは、やはり彼ならではの人徳の賜物だろう。

※SAPIO2018年5・6月号

関連記事

トピックス

大谷の母・加代子さん(左)と妻・真美子さん(右)
《真美子さんの“スマホ機種”に注目》大谷翔平が信頼する新妻の「母・加代子さんと同じ金銭感覚」
NEWSポストセブン
二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(時事通信フォト)
【スクープ】二階俊博・元自民党幹事長の三男・伸康氏が年下30代女性と不倫旅行 直撃に「お付き合いさせていただいている」と認める
NEWSポストセブン
雅子さまにとっての新たな1年が始まった(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
《雅子さま、誕生日文書の遅延が常態化》“丁寧すぎる”姿勢が裏目に 混乱を放置している周囲の責任も
女性セブン
M-1王者であり、今春に2度目の上方漫才大賞を受賞したお笑いコンビ・笑い飯(撮影/山口京和)
【「笑い飯」インタビュー】2度目の上方漫才大賞は「一応、ねらってはいた」 西田幸治は50歳になり「歯が3本なくなりました」
NEWSポストセブン
司忍組長も姿を見せた事始め式に密着した
《山口組「事始め」に異変》緊迫の恒例行事で「高山若頭の姿見えない…!」館内からは女性の声が聞こえ…納会では恒例のカラオケ大会も
NEWSポストセブン
M-1での復帰は見送りとなった松本(時事通信フォト)
《松本人志が出演見送りのM-1》今年の審査員は“中堅芸人”大量増へ 初選出された「注目の2人」
NEWSポストセブン
浩子被告の顔写真すら報じられていない
田村瑠奈被告(30)が抱えていた“身体改造”願望「スネークタンにしたい」「タトゥーを入れたい」母親の困惑【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
「好きな女性アナウンサーランキング2024」でTBS初の1位に輝いた田村真子アナ(田村真子のInstagramより)
《好きな女性アナにランクイン》田村真子、江藤愛の2トップに若手も続々成長!なぜTBS女性アナは令和に躍進したのか
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン