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角居勝彦調教師 ファンの応援が騎手や馬主、馬に与える影響

名調教師が「応援」について語る

 ファンあってのプロスポーツ。競馬もファンあってこそだというが、ギャンブルでもある競馬の場合、ファンとの関係性が少し違う。調教師・角居勝彦氏の週刊ポストの人気連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」より、ファンの応援が競馬に与える影響についてお届けする。

 * * *
 インタビューで「ファンの方々へ一言お願いします」と聞かれると、判で押したように「応援よろしくお願いします!」と締めますね。まるで面白くないものの、聞かれた側にしてみれば、これしかない言葉でもある。

 これが野球やサッカーの選手なら、グラウンドに立った時の歓声が大きければ大きいほど胸が熱くなるはずだし、苦境に立たされた時、気持ちを奮い立たせる力になるに違いありません。

 競馬の場合はどうか。パドックなどでたまに「○○がんばれ!」という声が聞こえる時があるものの、ふつうのファンにとってはやや違和感があるのではないでしょうか。前回に書いた「直線の騎手名連呼」なども声援とも言えますが、その声援に応えて力が入るという話はあまり聞いたことがない(笑い)。

 特定の馬やジョッキーが好きというファンもいますが、多くは「競馬ファン」でギャンブラーなのです。だから本来応援イコール馬券です。「この馬に勝ってほしい!」というファンの願いが、そのまま馬への声援となり、オッズへと反映される。馬名が入っている“がんばれ馬券”なるものもありますしね。人気薄で激走する馬を狙う穴党もいますが、多くは勝てそうな馬、連に絡みそうな馬が「人気者」のはずです。

 オーナーは愛馬が人気になればうれしいし、勝利への期待も高まるかもしれませんが、馬は「よし、人気に応えるぞ!」とはまったく思わない(笑い)。自分の馬券が売れようが売れまいが、まさに馬耳東風です。

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