国内

「親の資格」問われる事件頻発 堺屋太一が官僚の責任を指摘

作家で経済評論家の堺屋太一さんが昨今の事件を分析(写真/アフロ)

 最近、「親の資格」を問われる事件が頻発している。今年3月、東京・目黒区で船戸結愛ちゃん(ゆあ・当時5才)が父親(33才)に殴られて死亡した事件では、結愛ちゃんが毎日早朝4時に、ひらがなの練習を強いられていたことがわかっている。彼女は保育園や幼稚園にも通っておらず、食事は1日1食。風呂場で冷水を浴びせられるなど日常的に虐待を受けていた。

「もっともっときょうよりかあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください」

 結愛ちゃんが大学ノートに記した「反省文」には、胸が詰まる言葉が並んでいた。

 5月29日には、新宿・歌舞伎町のコインロッカーで、へその緒がついた乳児の遺体を発見。6月2日に逮捕された女性(25才)は、

「今年1月頃、歌舞伎町の漫画喫茶の店の中で子供を産んだ。赤ちゃんの声が出たので、ばれてしまうと思い、殺した。漫画喫茶に遺体を数日置いて、ニオイが出ると嫌だから捨てた」

 と供述している。この異様な親子関係はなんなのか──。作家で経済評論家の堺屋太一さんは、昨今の事件に「本能の欠落」を見る。

「本来、あらゆる生物の雄は『自分の子孫を残したい』という本能を必ず持っているものなんです。しかし、最近の男性はこれが欠落しているように思える。さらに、女性からも母性愛が失われつつある。無条件に抱くべきわが子への愛情を、持ち合わせていない母親がいるという事実に愕然とします。

 子孫を残したくない男性、母性愛が欠落した女性。この流れが加速すると、あらゆる生物は死滅する。人間も例外ではありえない、とさえ思えてきます」

 日本は世界一安全で清潔な社会といわれるが、なぜこんなことになるのか。格差社会による貧困など、原因は複雑に入り組み、端的に指摘することは誰にもできない。だが、あえて1つ挙げるとするならば、それは“官僚が「家族」をも統制しようとした結果”だと堺屋さんは言う。

「根源的な話をするなら、生まれてすぐに託児所に入れ、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学と『切れ目なく親元から離れる時間』を作ったことが、生物本来の親子関係から変化をもたらした最大の原因だと思います。こうなると、人々は『親としての責任』まですべて外に担わせてしまう。最近の親はみんな子育てを外の世界に任せているでしょう。

 昔はもっと親子関係は密でしたよ。今みたいに、0~1才児を預かる託児所なんて身近にありませんから。時間的にも空間的にも、日常の大半は親と共に過ごしていました。子供に問題があっても、全責任を持って親が面倒を見てきた。問題行動があって不仲だから外に預けました、なんてありえなかった。官僚主導社会の仕組みが、親と子をセパレートしようとしている。一連の事件の親の対応を見ていると、そんなふうにも思えます」

※女性セブン2018年7月12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト