ただ、前述したように売り上げ規模が近いマツダやスズキにはしっかりとマニュアル車の設定もあり、特にマツダはクルマ好きをターゲットにすると宣言して、そのクルマ好きの層を確実にファンにしてきている。最近は、「スバルのクルマがいまのままなら、マツダのクルマに乗り換えようかな」という声も聞かれるようになってきた。
スバルが新型「フォレスター」の発表会を行ったのは6月20日だったが、その2日前の18日、スズキは自社のホームページで新型「ジムニー/ジムニーシエラ」の事前情報サイトをスタートしている。同車はスバリストならぬ“ジムニスト”と呼ばれるコアなファンがもともといることに加え、今回は1998年以来、実に20年ぶりのフルモデルチェンジということで、ジムニスト以外の人たちの間でも盛り上がっている。
また、事前情報サイト等で新型「ジムニー/ジムニーシエラ」のエクステリアや内装が明らかになり、さらにマニュアル車の設定があることがわかると、同じSUVジャンルながらサイズはまったく違うものの、スバリストの失望を買った「フォレスター」とは対照的に、「デザインがいい」「スズキはお客が何を欲しているかわかっている」等々、称賛する声がネット上で相次いでいる。
スバルは企業としての岐路を迎えたと同時に、その根幹をなすクルマの「らしさ」も今、これまでの熱心なファンであるスバリストたちから問い直されている。
●文/河野圭祐(ジャーナリスト)