ニホンウナギは、国際自然保護連合から2014年に絶滅危惧種指定を受けてもう4年が経つ。2017年には台湾で「もっとも絶滅の危険度が高い種」に指定された。売り物がなくなれば、売ることも食べることもできなくなるが、「商売」の基本は、客の求めに応えることだ。結局のところ、うなぎを絶滅寸前にまで追い込んでいるのは、消費者である私たちにほかならない。
江戸時代以来続く生活に根ざした食文化である以上、「どうしても」と消費者は考えるのは無理からぬことでもある。「いつまで食べられるかわからない高嶺の花」となるとますます欲求が高まってしまう。なんという悲しい性なのだろう。
後ろ髪をひかれつつも踵を返すか、後ろめたさを感じながらも眼の前の重に手を伸ばすのか。どんな選択をするにしても、人は考え、そして選択できる生き物であるはずだ。