ライフ

【森永卓郎氏書評】アキバ系オタク本領発揮の人物・舞台設定

『ちょっと一杯のはずだったのに』/志駕晃・著

【書評】『ちょっと一杯のはずだったのに』/志駕晃・著/宝島社文庫/630円+税
【評者】森永卓郎(経済アナリスト)

 著者は、ラジオ局のニッポン放送に勤めるサラリーマンだ。昨年、デビュー作の『スマホを落としただけなのに』がヒットして、今年11月に映画化されることになった。

 新人作家として、これ以上ない成功を収めたのだが、新人作家にとって一番重要なのは、二作目だ。そこで失敗すると、一発屋で終わってしまうからだ。ところが、二作目の本書は、デビュー作を超えるスリルとスピード感、そして最後に大どんでん返しが待ち構えていて、前作を上回る出来映えだ。

 実は、私は何年か前に著者と仕事をしたことがあるので、よく分かるのだが、著者は、アキバ系のオタクだ。だから、この作品の舞台も秋葉原になっている。本業があって、小説を書くのに、いちいち取材をしている時間はないから、自分の知識で書ける舞台を選んだのだろう。

 人物設定も、同じ事情だ。主人公は、ラジオ局に勤務するディレクター、まさに著者がやってきた仕事だから、描写が的確で、リアリティがある。これは、他の小説家では出来ないことだ。

関連記事

トピックス

店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
乱戦の東京15区補選を制した酒井菜摘候補(撮影:小川裕夫)
東京15区で注目を浴びた選挙「妨害」 果たして、公職選挙法改正で取り締まるべきなのか
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト