しかし、徐は宝くじを当てた快感が忘れられなくなり、自宅のマンションも売って、それで得た金を再びすべて宝くじにつぎ込んだものの、文無しに。
その後、親戚から借金して宝くじを買うようになったが、あまりに頻繁の借金の催促に親戚も徐を避けるようになり、誰も徐を相手にしなくなった。会社の同僚からの借金も返せなくなり、給料もすべて借金の支払いに回されるなど、徐は会社も辞めてしまった。
それでも、徐は宝くじの魅力から離れられず、なじみの宝くじ売り場の店主らから金を借りるようになったが、結局、見放されて誰も金を貸さないように。すると、徐は昨年末、ペットボトルに可燃性のアルコールを入れて、売り場に火を放ち、逮捕されてしまったという。
徐は現在、裁判を待つ身で、彼の姿は典型的な宝くじ中毒患者の末路そのものといえそうだ。
北京師範大学の研究では、中国で宝くじを頻繁に購入している2億人のうち、約700万人が「問題のある宝くじ購入者」、つまり宝くじ中毒患者とされる。いまは、スマートフォンのアプリで売り場に行かなくとも、簡単に宝くじを買うことができるようになっており、若年層に中毒患者が増えているとも伝えられている。
ネット上では「中国政府はギャンブルを禁止しているなか、貧困層を救うための基金にするとの名目で、唯一宝くじを公認している。でも、貧困層が宝くじ中毒になりやすい実態があり、まるで政府の理論は矛盾している」といった批判の書き込みが出ている。