国内

ロゴ無断使用「ブート品」 無知な若者が高値取引の異常事態

違法な「ブート品」を高額取引してしまう若者たち

 有名ブランドのロゴなどを勝手に使用したカジュアル衣料の一部を「ブート品」と呼び、パロディ作品でありカスタマイズ商品だと言って売買する人たちがいる。しかし、そもそも「ブート」とは海賊版(bootleg)という言葉に由来しており、商標法違反の偽ブランド品だ。そういった海賊版の知識がない若者を相手にブート品と称するものが路面店だけでなくフリマアプリでも売買されている問題について、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
「レトロな感じで一周回っておしゃれな感じ。半年前にメルカリで一万円で買ったけど、今はもっと値段が上がっている。古着だから希少価値も高いし……」

 こう話すのは、高級ブランド「グッチ」のロゴが入った古めかしいTシャツを着た女子大生。東京・表参道からわき道にそれた、アパレル店や雑貨店が並ぶ通称「キャットストリート」を歩く彼女が着ているのは、実は、グッチが十数年前に出していたアイテムの「古着」ではなく、十数年前に海外の業者が作ったれっきとした偽物。要は「まがい物の古着」なのだ。

 7月、警視庁は「ブート品」と呼ばれるトレーナーやTシャツなどを扱う、都内の古着店業者を商標法違反の容疑で逮捕した。先の女子大生は「ファッションなのにありえない」と警察への憤りを隠さないが、そもそもが偽物だ、と説明すると返す言葉に困った様子。

「違法・密造」といったニュアンスの「ブート品」。1980年代にアメリカで作り始められた「偽ブランド品」がその発祥とされているが、その有名製造元は1990年代初頭に廃業。ところが近年、本家の有名高級ブランド自身が、その海賊版をほうふつとさせるポップなデザインのアイテムを発表したことにより、皮肉なことに、かつて流通した偽ブランド品が巷では高値で取引される事態となっている。もっとも、高級ブランドによるポップなデザインの品々は、高級ブランドらしくしっかりした品質のものだが、ブート品と称して売られている偽物は海賊版らしい程度の質しかない。

 しかし、前述の女子大生のように価値があると信じて購入する人は後を絶たず、そしてブート品が「違法」であるという認識を持つ人は少ない。知ったところでファッション、オマージュといった言葉を用い、どうにか所有や着用を正当化しようとする。

関連キーワード

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン