国内

高齢者の「低栄養」食事の典型的実例を紹介、認知症のリスクUP

暑い夏もつい素麺など単品に偏りがち

 高齢者の「低栄養」が問題になっている。でもそれは、単に“食べていない”ということだけではないらしい。栄養について正しく理解し、高齢者が栄養不足になってしまう生活環境や体の状態にも目を向けた方がよさそうだ。高齢者の食生活にも詳しい管理栄養士の成田美紀さんに聞いた。

 東京都健康長寿医療センター研究所が高齢者の食生活を調査する中で、低栄養になりやすい典型的な実例を見せてくれた。

【1】70代・女性
朝食:ライ麦パン、いちごジャム、ブラックコーヒー
昼食:混ぜご飯(すし飯、卵、しいたけ、しょうが、のり)、煮物(ひじき、にんじん、しいたけ)、お茶
間食:薄焼きぬれせんべい、柏餅、お茶、しょうが湯
夕食:ライ麦パン、トマト、もやしの甘酢漬け、佃煮(こんぶ、かつおぶし)

【2】70代・男性
朝食:ご飯、漬けもの(かぶ、きゅうり、なす)、梅漬、みそ汁(ねぎ、卵)、お茶
昼食:ひやむぎ(ねぎ、トマト、ハム)
夕食:ご飯、漬けもの(かぶ、きゅうり、なす)、やきとり(鶏レバー)、焼酎(1合)

「【1】の女性のように、朝食と夕食はごく軽く、主菜(メインのおかず)といえるようなものが少なく、その代わりに炭水化物と糖分、塩分の多い間食をたくさん摂っているパターンはよく見られます。

 また【2】の男性のような“ご飯と漬けもの”“麺類1品”といった同じものが続き、いろいろな食品をとる機会がなく、間食もなしという単調な食事も、多いパターン。

 このほか、食事を抜いてしまう(1日2食)、手軽なお菓子を食事代わりにしたり、パンやご飯、インスタント麺などの主食(炭水化物)のみという人も。さらに意識して野菜はとっているのに肉などの動物性たんぱく質を摂らず、結果、低栄養になっている人も見受けられます。

 いずれも何かしらはとっているので、本人や家族は“食べている”つもりになりがち。でも特にたんぱく質とビタミン・ミネラルなどの微量栄養素が不足。全体的に栄養素が足りていません」

 低栄養とは、健康な体を維持して日常生活を送るために必要な栄養素が足りない状態。特にエネルギー(炭水化物や脂質)とたんぱく質が重要で、食べる量が少ないために両方が不足する場合と、エネルギーだけは維持されて外見上は普通でも、栄養が偏っている場合があるという。

「低栄養状態が続くと、体力や免疫力が低下して風邪などの感染症にかかりやすく、また治りにくくなり、体力の低下が加速します。

 筋肉量や筋力も減るので疲れやすく、自然と活動量や基礎代謝量が減り、歩行速度が低下するなど身体機能がどんどん衰えます。結果、ますます食欲がなくなって低栄養が進むという悪循環に陥り、心身の活力が低下するフレイル状態になります。高齢者にとっては大きなリスクです」

 また低栄養は認知症のリスクも上げる。この長寿時代、死ぬまで元気に暮らすためにも、低栄養対策が重要なのだ。

※女性セブン2018年8月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

物件探しデートを楽しむ宮司アナと常田氏
《祝!結婚》フジ宮司愛海アナ、結婚発表直前に見せていた「常田俊太郎氏とのラブラブ内見デート」 局内では「歩くたびに祝福の声」
NEWSポストセブン
豪華リフォームの要求が止まらない紀子さま(写真/時事通信フォト)
50億円改修工事が終わったはずの秋篠宮邸、はやくも新たな修繕工事の計画がスタート 宮内庁は工事の具体的な内容や価格などは明かさず 
女性セブン
墓に向き合ったTaiga
《桜塚やっくんの墓参りに密着》11回目の命日…女装研究家になった元バンドメンバーTaiGaの告白「やっくんの夢だった『武道館での歌唱』を叶えたい」
NEWSポストセブン
ツアーを終え、ロンドンに戻った宇多田ヒカル(2024年9月)
【全文公開】宇多田ヒカル、新パートナーはエルメスの店舗デザインも手掛けたグラフィックアーティスト ロンドンでひとときの逢瀬を楽しむ適度な距離感 
女性セブン
かつてバンドメンバーだった桜塚やっくんとTaiga(右)
【目の前で目撃】37歳で急逝・桜塚やっくんの命日に元バンドメンバーが墓参り 事故当日の詳細を初告白「悔やんでも悔やみきれません」
NEWSポストセブン
4月クールに『アンチヒーロー』で主演をつとめた長谷川博己
ドラマ『アンチヒーロー』で衣装に関する“200万円請求書”騒動 長谷川博己のオリジナルコート制作費をめぐってスタイリストと制作サイドが衝突か
女性セブン
佐賀空港を出発される愛子さま(時事通信フォト)
雅子さま「午後だけで4回もの休憩」不安視された22年ぶり佐賀訪問で初めて明かした「愛子さまとの私的な会話」
NEWSポストセブン
《防弾チョッキ着用で出廷》「フルフェイスヒットマン」は「元神戸山口組No.2」中田浩司組長だったのか 初公判で検察が明かした「2秒で6発の銃撃を浴びせた瞬間」
《防弾チョッキ着用で出廷》「フルフェイスヒットマン」は「元神戸山口組No.2」中田浩司若頭だったのか 初公判で検察が明かした「2秒で6発の銃撃を浴びせた瞬間」
NEWSポストセブン
ドキュメンタリー映画『Screams Before Silence』でインタビューに応じるアミット(映画の公式インスタグラムより)
《55日間のハマス人質日記》囚われた女性が語る地獄の日々「生理の時期を毎日確認されて…」【音楽フェス襲撃から1年】
NEWSポストセブン
10月8日、美智子さまは「右大腿骨上部の骨折」の手術を受けられた(撮影/JMPA)
美智子さま「大腿骨の上部骨折」で手術 待ち受ける壮絶リハビリ、骨折前より歩行機能が低下する可能性も
女性セブン
東北道・佐野サービスエリアの現在とは
《前代未聞のストライキから5年》激変した東北道・佐野SA「取り壊された店舗」名物「佐野らーめん」の現在、当時の元従業員が明かした39日間の舞台裏
NEWSポストセブン
カニエ(左)とビアンカ・センソリ(右)(Getty Images)
「ほぼ丸出し」“過激ファッション”物議のビアンカ・センソリが「東京移住計画」ラッパーのカニエ・ウェストと銀座に出没、「街中ではやめてくれ」の指摘も
NEWSポストセブン