2016年11月23日、Amazonプライム・ビデオのホーム画面を眺めていると、あるバナーが流れてきた。しゃくれた顎、鋭い眼光と目が合う。見慣れた顔があった、それは有田哲平! その隣に描かれる番組名『有田と週刊プロレスと』。
「キター! 有田のプロレス漫談が聞ける番組だ!」、また僕と同じ「また聴きてぇ~」と言った願望を持った製作陣がたずさわっていること間違いない番組。秒の速さで即視聴、いやはや想像以上の面白さだった。
『有田と週刊プロレスと』は、1983年~現在も発行されている雑誌『週刊プロレス』について有田が解説する番組。これだけでも十分面白いが、あるルールが番組での有田の話芸をプロレス的な先が読めないものへと変化させる。
番組冒頭、アシスタントの倉持明日香から有田に茶封筒が渡される。そのなかに入っているのは、スタッフがセレクトした1冊の『週刊プロレス』。有田はその場で初めて取り上げることになるバックナンバーと対面する。
プロレスラーのインパクトある写真が表紙を飾る『週刊プロレス』。表紙を見ただけで”あのときの事件”が思い出される。有田にとってもそれは同じ、表紙を見た瞬間に「とうとう出たか! これ!」と一言漏らし、解説スタート。もう、この流れがファンにとってはたまらない。
有田は『週刊プロレス』をめくりながら、その号で特集された事柄をゲストに指南していく。目を見張るのは“プロレスプロフェッサー”とも呼びたくなる有田の知識量。その場で渡されているのにも関わらず、即興解説(たぶん、やらせはないと信じたい)。
話は変わるが、友人の1人がくりぃむしちゅーの近くで仕事をしていた。彼は酒を酌み交わすたびに「有田さんも上田さんも、芸人になってなかったら、超有能なサラリーマンになっていたと思う!」と熱弁。済々黌高等学校は熊本で2番目に賢い県立高校、2人とも基本的なスペックは高い。
プロレスを見たことない人にも伝わるように懇切丁寧に説明する。また、有田はプロレスラーのモノマネが上手い。声マネだけでなく身振り手振りも完全再現、ゆえに、話題に上がったプロレスラーについて全く知らなくとも授業についていける。
「日本には大きな河の流れが2つありますね。そう全日本プロレスと新日本プロレスです」「作ったのはジャイアント馬場、アントニオ猪木。そして、馬場の代表的な弟子はジャンボ鶴田、天龍源一郎。猪木の弟子は藤波辰爾、長州力ですね」
まるで東進ハイスクールの人気塾講師のようなプロレス授業。大河のごときプロレス史をマスターしている有田だからこそ可能にしたプロレス教養番組なんだな。池上彰はニュースを知り尽くしているから、社会問題を分かりやすく紐解ける。扱う題材が異なるだけで、『有田と週刊プロレスと』も構図としては全く同じ。