芸能

くりぃむ有田哲平「いつ何時、誰でも笑わせる」話芸を解説

「いつ何時誰でも笑わす」有田哲平(イラスト/ヨシムラヒロム)

 お笑いコンビ・くりぃむしちゅーの有田哲平が司会をつとめるAmazonプライム・ビデオのトークバラエティ『有田と週刊プロレスと』第3シーズンが始まった。自分の好きなプロレスの世界で起きた過去の事件やレスラーたちについて、その面白さを伝えつつ、人が聞いて面白いトークに昇華する有田の話芸について、イラストレーターでコラムニスト、中野区観光大使でもあるヨシムラヒロム氏が考えた。

 * * *
 10年以上、芸人が話す深夜ラジオを聞いている。ラジオの電波はテレビよりも強い。それこそ受け手によっては伝播過多となる。刺激を受けすぎた結果、人生がラジオに染まっちゃった人も多い。大手S社に務める編集者Nは中高6年間、友達も作らずラジオに捧げたという。

 深夜、パーソナリティーの声は人生を狂わす魔笛。リスナーはハーメルンの笛吹き男に付いてく子供達のごとく、パーソナリティーを追う。これだけでも怖いが、番組が終わっても魔力は消えない。終了したラジオ番組も何度も聞き返すなんてリスナーにとって普通のことだ。

 なかでも『くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)から発した電波は強かった。この番組と出会ったがために、くりぃむしちゅーが特別な芸人となった人は数しれず。ちなみに僕もその1人。

 好きな人が好きなモノが好き。だから、くりぃむしちゅーが好きなモノを好きになる。2人は森羅万象、様々な事象について対話した。そのなかでもとりわけ熱心に語られたのがプロレスについて。

 熊本県立済々黌高等学校で出会った有田哲平と上田晋也、最初に交わした会話は「アントニオ猪木と前田日明どっちが強いと思う?」だったそうな。プロレスを介して、親交を深めた2人が語る昭和プロレス与太話は最高だった。

 タイガーマスクの生涯のライバルは誰か、ビッグバン・ベイダーの乱入によっておざなりとなったアントニオ猪木VS長州力、幼少時代の有田が見た悪役プロレスラーの優しい素顔、期待外れな演出を続ける新日本プロレスの異常性。

 プロレスラーの全盛期は短い、同じくパーソナリティーとリスナーの蜜月の期間も長くはない。プロレスラーが引退するように番組もいつかは終わる。

 2008年に『くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン』は幕引き。そのことによって、2人のプロレストークを聴く機会も失われた。しかし、番組が終わっても消えないのはくりぃむしちゅーが教えてくれたプロレスの楽しみ方。2人の影響で僕の趣味にプロレス本を読むことが加わった。

 プロレス社会は“一般”とは程遠いところにある。そこに属するプロレスラーのキャラは当然特濃。

「朝目覚めてから夜眠るまで、素手でいかに効率良く人を殺せるかを考え続けている」と言われる日本のプロレスの神様、カール・ゴッチ。プロレスで稼いだ金を新規ビジネスに使い、そして1円たりとも利益を出さないアントニオ猪木。高田延彦のために1人、ヒクソン・グレイシーの道場に殴り込みに行った安生洋二。プロレスラー同士がケンカをした結果、1つの旅館を破壊したなんて信じられないエピソードもある。

 昭和という大らかな時代に暴れまくった猛者のエピソードはド派手だ。ページをめくるたびに異常な生態系を知ることは面白い。しかし、そのたびに思い返すくりぃむしちゅーのプロレス漫談。「また聴きてぇ~」そんな想いもつもる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の母・加代子さん(左)と妻・真美子さん(右)
《真美子さんの“スマホ機種”に注目》大谷翔平が信頼する新妻の「母・加代子さんと同じ金銭感覚」
NEWSポストセブン
トルコ国籍で日本で育ったクルド人、ハスギュル・アッバス被告(SNSより)
【女子中学生と12歳少女に性的暴行】「俺の女もヤられた。あいつだけは許さない…」 執行猶予判決後に再び少女への性犯罪で逮捕・公判中のクルド人・ハスギュル・アッバス被告(21)の蛮行の数々
NEWSポストセブン
二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(時事通信フォト)
【スクープ】二階俊博・元自民党幹事長の三男・伸康氏が年下30代女性と不倫旅行 直撃に「お付き合いさせていただいている」と認める
NEWSポストセブン
雅子さまにとっての新たな1年が始まった(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
《雅子さま、誕生日文書の遅延が常態化》“丁寧すぎる”姿勢が裏目に 混乱を放置している周囲の責任も
女性セブン
M-1王者であり、今春に2度目の上方漫才大賞を受賞したお笑いコンビ・笑い飯(撮影/山口京和)
【「笑い飯」インタビュー】2度目の上方漫才大賞は「一応、ねらってはいた」 西田幸治は50歳になり「歯が3本なくなりました」
NEWSポストセブン
司忍組長も姿を見せた事始め式に密着した
《山口組「事始め」に異変》緊迫の恒例行事で「高山若頭の姿見えない…!」館内からは女性の声が聞こえ…納会では恒例のカラオケ大会も
NEWSポストセブン
浩子被告の顔写真すら報じられていない
田村瑠奈被告(30)が抱えていた“身体改造”願望「スネークタンにしたい」「タトゥーを入れたい」母親の困惑【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
「好きな女性アナウンサーランキング2024」でTBS初の1位に輝いた田村真子アナ(田村真子のInstagramより)
《好きな女性アナにランクイン》田村真子、江藤愛の2トップに若手も続々成長!なぜTBS女性アナは令和に躍進したのか
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン