わずか3か月の間に入院患者48人が相次いで死亡し、看護師がそのうち2人に対する殺人容疑で逮捕された旧大口病院連続中毒死事件でも、病院内での管理体制が問題視された。
「病院は患者や見舞い客が自由に出入りできるうえ、監視カメラもない。最も無防備で危険な場所です」
そう語るのは、元警視庁捜査一課管理官の横内昭光氏だ。2004年、慈恵医大病院が全国で初めて「院内交番」と呼ばれる渉外室を設置。警察OBが常駐して院内を監視するシステムを立ち上げた。その際に、“院内ポリス第1号”として勤務したのが横内氏だった。
基本的に平日朝9時~午後5時の勤務だが、緊急の場合には深夜でも病院に駆けつけたり、電話で対処法を指示したりするなど、24時間体制で病院での“事件解決”に当たる。現在、こうした院内交番を設置している病院は全国に約300ある。
病院内は生死の狭間にいる患者たちの不安や、時間が思う通りにならない苛立ち、多忙な医師や看護師たちのストレスなどが鬱積し、人の感情が爆発しやすい場所という側面もある。
そうした危険があるからこそ、院内ポリスは生まれた。現役の院内ポリスとして活躍する井上眼科病院の金子純氏はいう。