2人には共通の想いがある。
「1から10まで『おれの言うことを聞け』のほうが、まとめやすいかもしれません。でも『指導者』には『指し導く』という役割があるわけです。高校野球で勝っても人生が終わるわけではなく、その先の人生のほうがずっと長い。野球が終わって社会に出たときのことを考えると、高校生のときから自分で考える力を育んでほしいと思います」(平田監督)
「結果を出すことだけ考えたら、監督にすべて管理されていたほうが近道だと思います。でも、それでいいのかなと疑問に思うんですよね。自分で考えて、自分で行動して、何かを成し遂げたときの楽しさを、味わってもらいたい」(森林監督)
横浜、慶應義塾という名門校で、新たな伝統を築き上げている平田監督と森林監督。甲子園でも、選手の主体性を生かした采配に注目したい。
●おおとし・みのる/1977年生まれ。横浜市港南区出身。港南台高(現・横浜栄高)~成蹊大学卒。スポーツライターの事務所を経て2003年に独立。高校野球のほか中学軟式野球の取材・執筆活動を行っている。著書に『高校野球 神奈川を戦う監督たち』、『101年目の高校野球「いまどき世代」と向き合う大人力~』、『激戦 神奈川高校野球 新時代を戦う監督たち』、『名将たちが語る「これから」の高校野球』などがある。