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激闘の神奈川高校野球を制した横浜と慶應に共通する指導法

横浜高校の平田徹監督(写真提供/インプレス)

 まずは、横浜・平田監督。就任後、ロングティーと体作りに力を入れ、どこからでもホームランが飛び出る強力打線を作り上げた。2016年、2017年には大会記録となる14本塁打をマークした。

「選手と接するときは性善説の考えを持っています。『横浜高校を選んで、甲子園やプロを目指して入ってきた志が高い集団なんだから、誰が見ているとか見ていないじゃなくて、目標に向かって自ら成長していくのが君たちの仕事だろう』と。それができる選手たちだと信じています」(『激戦 神奈川高校野球 新時代を戦う監督たち』より)

 技術的な指導を、手取り足取りすることはほとんどない。アドバイスやヒントは与えるが、強制はしない。監督が指導することによって、そこに強制力が生まれ、選手自ら考えることをしなくなってしまうからだ。それに、教え過ぎることによって、監督の色に染まり、選手自身の個性が消えてしまうこともある。

 口癖は「創意工夫、試行錯誤」。大いに悩んでいい。とことん悩むことによって、課題を解決する力が養われてくる。

「一番の願いは自立をしてほしいということです。大学やプロに行ったときに、『あの人がいなくなったので、打ち方がわからなくなりました』では困るわけです。誰かに依存してほしくない。そのためにも、高校時代に自分で考える習慣を付けてほしいと思っています」

 今夏、未完の大器・万波中正が打率.562、2本塁打と爆発した。ずっとタイミングの取り方に悩んでいたが、自分自身で試行錯誤していくなかで、「右のお尻にテンションを感じながらステップする」という、今のチェックポイントをつかみとった。

「悩み抜いたすえに、自分で壁を乗り越えたことは、万波にとって大きな財産になるはずです」と平田監督はその成長ぶりを称える。

 今大会、チーム全体で22個の盗塁を決めたが、基本的にはノーサイン。「いけると思ったら走っていい」と、選手の判断にゆだねている。準々決勝の5回にはノーサインでダブルスチールを決めて、代打・河原木皇太の同点打を呼び込んだ。

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