国内

「看取り士」の仕事は「望んだ最期を迎えるようコーディネート」

日本看取り士会会長の柴田久美子さん

「終末期にはいろいろな事態が起こりますが、ご本人も家族もそれに対応できる知識はなく、もちろん気持ちがついていきません。情報はたくさんあるけれど、何が自分に相応しいのか選ぶのが難しいのです。そんなときご本人の望む最期が迎えられるようコーディネートし、息を引き取る瞬間、納棺まで身近に寄り添うのが看取り士の仕事です」

 そう語るのは日本看取り士会会長の柴田久美子さんだ。長年、医療のない離島で自然な看取りを行った視点から、医療依存度が高く、自分の望む最期を迎えられないことの多い現実に対応すべく、看取り士という仕事を作った。

「若い頃、何でも自分で選んで人生を描いてきたものが、老いて弱くなるとどうしても受け身になり、いつの間にか制限ばかり。住む場所や受ける医療や介護、お茶を飲むことさえ自由にならないこともあります。でも最期こそ、自分の思い通りにわがままに満足して迎えたい。私自身がそうしたい。もっと人生の最期を大切にしてほしいのです」(柴田さん、以下同)

 数多くの看取り経験から、自分なりの死生観を持つことの大切さも訴える。死に対し目を背けていると、来たるべき最期のときも、それこそ受け身で迎えることになる。不安でいっぱいだ。

「私たち看取り士の死生観は、“人の死は命の受け渡し”というもの。その人の人生で積み重ねて来たことを次の世代にバトンタッチするのが看取りなのです。体は朽ちても魂は残って家族に勇気さえ与えてくれます。

 苦悩も喜びも人生のとらえ方次第なのです。プラス志向の死生観をしっかり持つことで、心安らかに受け入れられ、よい人生の最期を迎えたいという意識も生まれます」

※女性セブン2018年8月16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(時事通信フォト)
【スクープ】二階俊博・元自民党幹事長の三男・伸康氏が年下30代女性と不倫旅行 直撃に「お付き合いさせていただいている」と認める
NEWSポストセブン
雅子さまにとっての新たな1年が始まった(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
《雅子さま、誕生日文書の遅延が常態化》“丁寧すぎる”姿勢が裏目に 混乱を放置している周囲の責任も
女性セブン
M-1王者であり、今春に2度目の上方漫才大賞を受賞したお笑いコンビ・笑い飯(撮影/山口京和)
【「笑い飯」インタビュー】2度目の上方漫才大賞は「一応、ねらってはいた」 西田幸治は50歳になり「歯が3本なくなりました」
NEWSポストセブン
司忍組長も姿を見せた事始め式に密着した
《山口組「事始め」に異変》緊迫の恒例行事で「高山若頭の姿見えない…!」館内からは女性の声が聞こえ…納会では恒例のカラオケ大会も
NEWSポストセブン
M-1での復帰は見送りとなった松本(時事通信フォト)
《松本人志が出演見送りのM-1》今年の審査員は“中堅芸人”大量増へ 初選出された「注目の2人」
NEWSポストセブン
浩子被告の顔写真すら報じられていない
田村瑠奈被告(30)が抱えていた“身体改造”願望「スネークタンにしたい」「タトゥーを入れたい」母親の困惑【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
「好きな女性アナウンサーランキング2024」でTBS初の1位に輝いた田村真子アナ(田村真子のInstagramより)
《好きな女性アナにランクイン》田村真子、江藤愛の2トップに若手も続々成長!なぜTBS女性アナは令和に躍進したのか
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン