およそ1か月前、総合スーパーの西友を傘下に収める米ウォルマートが「西友売却の意向」と報じられると、有力売却先は?、流通再編か? と大きな話題を呼んだ。
現状、ウォルマート側はこの報道を否定し、「どの企業とも売却交渉はしておらず、日本での事業を継続していく」とのコメントを発表したまま大きな動きは見られない。だが、西友売却は規定路線だという見方は強い。
「そもそもウォルマートは西友を皮切りに日本の小売業を次々と買収して事業規模を拡大させる戦略を掲げていましたが、思うように進んでいない。西友単体は大規模なリストラやウォルマートとのシステム統合などによる経費削減で収支はトントンだが、ウォルマートにとってはまったく物足りない数字。遅かれ早かれ売却の憂き目にあうのは間違いない」(流通業界関係者)
2008年時点で、西友の売り上げは約8000億円。昨年の2017年12月期は約7000億円だった模様で、10年で1000億円売り上げを落とした計算だ。これではいくら利益があがってもウォルマートの意向には沿えない。
そんな中、8月13日に行われた、ディスカウントストア、ドン・キホーテの決算(2018年6月期)&事業戦略説明会で注目すべき発言が飛び出した。
ドンキホーテホールディングス(HD)の大原孝治社長が質疑応答の中で、「西友が売却されるかもしれないことに対してどう思うか」との問いに、「マスコミ報道通りで、もし本当に売却があるのなら」と前置きしたうえで「興味はある」と明言したのだ。
さらに、「不動産がなければ小売業は成り立たず、(西友には)いまでは手に入らないような立地が多数あり、(売却ならば)細かく精査したい」と踏み込んだ発言までした。この手の質問には「仮定の話にはお答えできない」と煙に巻く回答をするケースが多いだけに余計、ドンキホーテHDの“本気度”が窺えた。
同社が前向きなのは、西友のような総合スーパー(以下GMS)や食品スーパー(以下SM)との関わりの実績値があったからだろう。