西友の買収に興味を示したドンキホーテHDの大原孝治社長
問題は、ウォルマートが本当に西友を売却するのかという点だ。
西友の想定売却額が3000億円から5000億円とも目されているためか、ドン・キホーテ決算の質疑応答の際、「優良店舗だけ切り売りした場合ならば魅力があるのか」との問いもあった。
対して大原氏は、「そんなおいしい話があればぜひ、ご仲介いただきたい」と会場の笑いを誘っていた。本音を言えば首都圏プラス、中京、関西の3大都市圏ぐらいに限定したいだろう。
もちろん、仮に売却となれば候補はドンキホーテHDだけではない。流通アナリストでプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏はこう推測する。
「売却先は流通業だけとは限りません。例えば、西友は今年1月にウォルマートを通じて楽天とネットスーパーを共同で始めるべく提携しているので、楽天は有力候補といえます。その他、ネット系ではアリババなど中国勢にも可能性はあるでしょう。イオンやセブン&アイHDなどの大手小売業は、リアル店舗をこれ以上抱えこむよりもネット戦略を強化している途上ですしね。
もう1つの可能性は、外資系などの投資ファンドがいったん買収し、収益が上がって再上場などの出口戦略が整えば、どこかに再び売却するシナリオです。その際、“ウルトラC”として世界の小売業を侵食するアマゾンが買い手として登場することだってあり得ない話ではないでしょう」