リアル店舗の拡大で勢いに乗るドン・キホーテ
まず2007年に長崎屋を買収し、一定数の店舗を「MEGAドン・キホーテ」の業態に転換している。さらに2017の8月にはユニー・ファミリーマートホールディングスとの提携を発表し、ユニーに40%出資している。
その後、ユニー6店舗を「MEGAドン・キホーテUNY」に転換し、業態転換前に比べて売り上げで90%増、客数で70%増、粗利で60%増を記録し、「長崎屋では1店あたり3回も4回も改装を重ねて手探りだったが、ユニーの転換店は長崎屋よりもはるかに手応えを感じている」(大原氏)と自信を示した。その勢いもあり、2019年は20店、ユニーの店から「MEGAドン・キホーテUNY」に転換するという。
さらに今年6月からは、3店舗ながらドン・キホーテとファミリーマートのコラボ店も実施し、「右肩下がりのGMSと、過剰競合で頭打ち感のあるコンビニだが、この流通で2大勢力のGMSとコンビニを、当社が同時にソリューションすることができれば、流通ナンバーワンかリーディングカンパニーになれる可能性がある」(同)ともしていた。
西友は20年前の1998年、西武百貨店がディベロッパーであるグループの西洋環境開発の負の遺産処理に追われたのと同様、やはりノンバンクの東京シティファイナンスの負の遺産に苦しみ、ファミリーマートや良品計画、インターコンチネンタルホテルチェーンを相次いでこの年に売却。西友本体には2000年、住友商事が11.83%出資した。
住商にも食品スーパーの「サミット」があり、西友と組んで首都圏でのSM戦略を一気に拡大するもくろみだったが頓挫。その住商の仲介で2002年、ウォルマートの資本が西友に入り、2005年には子会社化、さらに10年前の2008年、完全子会社化で上場廃止となった(西友は合同会社となったが2015年、株式会社に再度変更)。
現在、西友の店舗は約340店あるが、旧セゾングループの中核だったため、歴史的に西武鉄道沿線、それも駅前の好立地店(ただし老朽化した店舗が多い)が多い。また、かつて伊藤忠商事と西武百貨店が合弁でマイマートを設立して中央線沿線に出店、後に西友がマイマートを吸収合併したため、中央沿線にも西友の店舗はかなりある。
都道府県別で最も西友の店舗が多いのは東京都で78店(8月中旬時点。以下同)。首都圏では埼玉県26店、神奈川県21店、千葉県13店と続く。ほかでは宮城県で18店、愛知県で15店あるが、それ以外のエリアは一桁の店舗数だ。例外として、長野県は43店とかなり多いが、これは過去に地場スーパーと提携したり合併したことも効いているようだ。
そう考えると西友は圧倒的に東京に多く、前述したように老朽化してはいるが駅前立地も多い。それが、大原社長の「いまでは手に入らないような立地が多数ある」との発言になり、魅力的に映っているのだろう。