いずれにせよ、現在の勢いからいえば、ドンキホーテHDが西友売却先の最有力候補に浮上しても不思議はない。何しろ29期連続増収増益を前期で達成し、2020年をターゲットにしていた売り上げ1兆円の大台も、1年前倒しで来年の2019年6月期に到達する見込みだ。
大原氏は、「将来的には売り上げは2兆円を目指したいし、売り上げ以上に重視しているのが営業利益で、営業利益では1000億円をターゲットにしたい」としていた。前期は売り上げが9415億円、営業利益が515億円、今期は売り上げ1兆円、営業利益で530億円を見込んでいる。
となると、2兆円と1000億円の目標はいまの倍。最高益を更新し、訪日外国人による免税品売り上げも絶好調で、小売業の中で快進撃が続くドン・キホーテではあるが、売り上げと営業利益を倍にするのは、オーガニックな自力成長だけでは一気には難しい。
そこで大型のM&A、具体的にはもし西友を買収することができれば、単純合算の計算上は、グッと目標に近づくことになる。
ウォルマート傘下でエブリデイ・ロー・プライスを標榜したものの目下、同業他社のGMS同様に苦戦する西友だが、「ほかのスーパーに比べて、西友は食品で安いものが多くて助かるけど、といって安かろう悪かろうでもない。プライベートブランドの『みなさまのお墨付き』シリーズでは、かなりいいものもある」とは、あるシニア世代の主婦の声。
ここ数年、小売業界の中で飛躍的に存在感を上げてきたドン・キホーテの、“西友買収”の野心は果たして実現するのか――。
●文/河野圭祐(ジャーナリスト)