では、回収率のいい騎手というのはいるのだろうか。リーディング上位に名を連ねている騎手でいえば、18位の丸山元気。ここ数年は年間30勝前後だったが、今年はすでに42勝。単勝万馬券を2回も出しているため、払い戻しの平均はおよそ1700円だ。仮に彼が乗った馬の単勝をすべて買い続けていれば4万3400円の投資額だが、払い戻しの合計額は7万円を超えている(これから丸山騎手の単勝馬券を買い続ければ儲かるということではない。あくまでも今年の、ここまでの結果である。念のため)。
しかし丸山騎手の勝率は1割を切っており、連対率は2割に達していない。人気馬に騎乗する時もあり、払い戻しが1000円を超えるのも11回だけ。単勝馬券を買って「やった!」となるのは40回に1回程度だ。穴党に人気の2年目川又賢治騎手の1勝あたりの払い戻し額は17500円にもなるが、314回騎乗して27勝、勝率は8分6厘なのだ。
だが、人気馬・人気騎手を軸に買っていては、大きく「儲ける」ことができないのは間違いない。つまり、競馬に臨む人のスタンスが問われる。あなたは当てたいのか? それとも儲けたいのか?
●文/東田和美(ひがしだ・かずみ)今年還暦。伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター
※週刊ポスト2018年8月31日号