ビジネスホテルブランドでもレトルトカレーが登場して、大ヒットとなっている。
日本最大規模のホテルチェーンとして知られる「アパホテル」。元谷芙美子社長を思い浮かべる方も多いだろうが、そんなアパホテルで目下人気沸騰中なのが「アパ社長カレー」だ。パッケージには、社長の顔がプリントされている。見た目のインパクトが大きいカレーであるが、カレーとしての実力もかなりのもの。小振りの角切りビーフの味わいがソースへ溶け出し、野菜の旨みのよく出たブラウンのルーがご飯に合う。
そして、ついに人気旅館ブランドまでレトルトカレーを発売した。
箱根の老舗温泉「一の湯」では、箱根山麓豚のレトルトカレー「一の湯カレー」を発売、人気を博している。一の湯といえば、創業寛永7年(1630年)の伝統と歴史ある旅館でありながら、箱根で様々なスタイルの施設を運営し人気を博している。
夕食メニューでしゃぶしゃぶを提供していたところ、使用している箱根山麓豚が甘さとやわらかさで大人気になり、しゃぶしゃぶ以外でも美味しい豚肉を気軽に味わってもらいたいと開発された一品だ。およそ老舗旅館とレトルトカレーはイメージが結びつかないが、老舗らしからぬ進取的な取り組みには同ブランドのスタンスを垣間見るようだ。
このようなホテルのレトルトカレーブームについて、フードジャーナリストでカレーライターの飯塚敦氏は、「“ホテルカレー”というジャンルがある程度一般に認知されていることに加え、他の料理に比べてカレーは調整しやすくパッケージ化しやすいという側面がある」と指摘する。加えて「レトルトカレーは価格帯の幅広さも消費者に受け入れられるようになってきておりギフトとしても選びやすい面もある」とも。
レトルト食品といえば一般的にチープなイメージであるが、一定のクオリティを堅持するホテルグルメ・ブランドの信用力もあいまって、ホテルレトルトカレーは多くの人に支持されているといえる。通信販売等で手軽に手に入れることができるのも魅力だ。
ホテルクオリティを気軽に楽しめるホテルのレトルトカレー。ますます熱く刺激的な戦いを繰り広げていくことだろう。