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男性用顔拭きペーパーが消費者に受け入れられるまで

フェイシャルペーパーを開発した隈元義春氏

 商品力には絶対的な自信がありましたが、社内を説得するのに苦労しました。「化粧品メーカーのウチがなんで紙なんや?」と何度も却下されて、ならばと上層部にも試作品を使ってもらい、生活者も「気持ちええなあ」と喜んでいることを実感してもらいました。生活者満足を一番に考えて開発する姿勢が伝わったのか、製品化の許可が下りました。

 発売は開発の構想を得てから1年半後の1996年の夏でした。商品展開はコンビニに重点を置きました。今と違って男性化粧品コーナーはわずかだったので、ウチの商品を置くととても目立ちました。

 価格も300円を超えると売れないと思い250円に抑えましたが、広告費捻出は厳しかったので、自腹で商品を買い、居酒屋で隣に座った見ず知らずのサラリーマンに手渡すという地道なことをしていました。でも、後日その方に「あれから使ってますよ」と言われたときは嬉しかったですね。今では種類も増えて、累計販売数量は2億5000万個以上。開発者冥利に尽きますね。

(*本誌・週刊ポスト9月14日号19ページでは「90年にはボディペーパーも発売」と記しましたが、正しくは「98年にはボディペーパーも発売」でした)

※週刊ポスト2018年9月14日号

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