ライフ

ネイルの不思議なパワーを介護に生かす、文科省助成事業に採択

介護予防が専門の吉備国際大学准教授・佐藤三矢さん

 要介護5だった高齢女性が、要介護2にまで回復する──そんなことも、「訪問美容」によってもたらされたことがある。

 訪問美容とは、病気やけが、高齢などで美容院まで行けない人のため、自宅や施設、病院まで美容師が出向いてカット、パーマ、カラーリングなどの施術をしてくれるサービスのことである。

 そして、ヘアスタイルと同様に、ネイルも女性にとっては心躍る美容の1つ。手肌を手入れし、美しいネイルアートなどを施せば、気持ちがふさいでいるときにも指先に目が留まり、うっとり見たりもする。

 この不思議な癒しのパワーを介護予防や認知症改善に生かせないかという研究が、文部科学省の科学研究助成事業として採択され、行われている。約10年にわたり研究しているのは吉備国際大学准教授の佐藤三矢さん。理事を務める日本保健福祉ネイリスト協会との共同研究だ。

「検証実験は認知症高齢者を対象に、2週間に1度、ピンク系のマニキュアを施し、QOL(クオリティー・オブ・ライフ 人生・生活の質)を測る尺度を用いて検討しました。するとネイルを施した被験者のQOLが向上。またネイルを施術した群、施術しない群に分けて比較を行った実験でも、施術群に顕著なQOL向上が見られました。

 しかも施術群には“集団体操参加への積極性や意欲”“食事の際の問題行動の改善”なども見られ、認知症(周辺症状)の改善効果が大いに期待されます。現在も検証を継続中で、3か月目以降に効果が表れやすいなどの結果も出ています」

 普段、ネイルに親しんでいる世代にとっては心への作用は納得しやすいが、認知症高齢者に目覚ましい効果があったことは嬉しい驚きだ。

「考察としては、日常生活の中で目に付きやすい指先が美しく彩られることによって、わざわざ鏡などを見なくても、常に視覚的な刺激があることが要因と思われます。食事のときに箸を持つなど、さまざまな場面で自分の美しい指先が自然と意識されるのです」

 なお、佐藤さんらの研究は、2019年までに学術検証としてまとめられ、発表される予定だという。

 好みのマニキュアを自分で塗るのも手軽だが、しゃれたネイルアートを施してくれるサロンも増加中。また訪問美容のtrip salon un.でも、訪問ネイルを行っている。

 秋らしい色や模様を選んでネイルアートを楽しむことで、認知症や介護予防にもなるなら楽しい! 今日からぜひ。

※女性セブン2018年9月20日号

関連キーワード

トピックス

愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
イメージカット
「有名人なりすまし広告」の類に“騙されやすい度”をチェックしてみよう
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン