そろそろ温かい日本茶が恋しい季節。急須でいれる1杯の煎茶は、香りや渋み、甘みがバランスよく楽しめて、気持ちまでほっこりする。そこで、おいしい煎茶のいれ方を女子栄養大学大学短期大学部・食物栄養学科准教授の豊満美峰子(とよみつ・みおこ)さんに改めて教えてもらった。
同じ茶葉でも、いれ方ひとつで渋くも甘くもなる日本茶。味を決めるのは湯の温度と茶葉の量、浸出時間の3つ。
「特に湯の温度はお茶のおいしさを引き出す重要なポイントです。熱すぎると苦みが突出して甘みが感じにくく、逆に温度が低いと甘みは強くなるが、苦みと渋みが足りずにぼんやりした味になってしまいます」(豊満さん)
1煎目のお湯は80℃が目安。2煎目、3煎目は、徐々に熱くして浸出時間を短くすれば、数回おいしく味わえる。
■おいしい煎茶のいれ方
【急須の選び方】
旨み成分を抽出するには、茶葉を泳がせて開かせる必要がある。そのため、急須はそそぎ口に茶こしがあり、茶葉が泳ぐ広さのあるものを選びたい。かご網の茶こし急須は取り外せて洗いやすいが、体積が足りず茶葉が開ききらない。以下、おいしいお茶をいれる手順だ。
【1】湯冷ましをする
沸騰させた湯を非耐熱容器に移すか、人数分の茶碗にそそいで冷ます。茶碗を使うと器の温めや、ちょうどよい計量になる。冷ます時間は1分半程度。
【2】茶葉を入れる
人数分の茶葉を急須に入れる。1人分はティースプーン1杯(約3g)が目安。2人分の場合は2倍にすると苦くなるため、少し少なめ(約5g)がよい。
【3】湯を急須へ
冷ました湯を急須に入れる。2煎目をいれる湯の温度は、茶碗に沸騰した湯をそそいで冷ますこと30秒、3煎目は95℃くらいの熱い湯がベスト。
【4】1分半蒸らす
甘み成分を抽出するため、ふたをしめた状態で1分半蒸らす。短いと淡白に、長すぎると渋くなる。急須は振ったり回したりせず、静かに置くこと。
湯を入れた直後、茶葉の開きをチェック。摘採後に蒸して発酵を止め、揉みながら乾燥させた茶葉は細く閉じている。1分半蒸らすと、茶葉は膨らみ、生の葉の状態に近くなる。このとき茶葉が充分開いていれば、旨みが出ている証拠。
【5】回しそそぎをする
3~4回に分けて、濃さや量を均等にそそぐ。茶碗が3つ以上なら【1】【2】【3】→【3】【2】【1】の順でムラなく。おいしさが凝縮している最後の1滴まで絞って。
※女性セブン2018年10月4日号