国立がん研究センターは9月12日、全国約50万人のがん患者の「5年生存率」を公表した。対象は、国が指定する「がん診療連携拠点病院」251施設で2008~2009年にがんと診断された男女。251施設のうち、個別データの公表に応じた230施設について主要5部位(胃、大腸、肺、心臓、女性乳房)の病期(ステージI~IV)別の「5年生存率」を集計した。
膨大なデータの中から、どの項目に着目すべきか。医療ジャーナリストの村上和巳氏は、以下のように語る。
「患者が注目すべき重要な指標は『ステージIの5年生存率』です。ステージIの場合、多くの患者が受けるのは、リンパ節への転移のない局所がんを切るシンプルな外科手術。本来なら病院ごとの差が出にくい。それなのに5年生存率に大きな差が生じている場合、何らかの“病院側の理由”がある可能性がある。また、がんの部位によっては手術後に抗がん剤治療などの化学療法を追加で行ないますが、化学療法の内科医や、薬剤管理に習熟した薬剤師、看護師、栄養士が充実している術後の管理がよい病院では、ステージIの生存率が高くなっていると推測できます」
表では患者の平均年齢、5年生存率がともに表内の全病院の平均値を超えている医療施設に★印を付けた。死亡率が上がりやすい高齢患者が多いにもかかわらず、高い生存率を誇るのは、治療技術の高さを示していると考えられるからだ。
ここでは、大腸がん(5年生存率:86.1%、患者平均年齢:66.98歳)に関するデータを表で紹介しよう。
◆表について/国立がん研究センターが調査した251施設のうち、データ未公表の施設を除く230施設における、がんのステージI「5年生存率」を掲載(患者数100人以上の施設を対象とした)。5年生存率、平均年齢ともに、対象施設の平均を上回っている施設に★印をつけた。Cはセンターの略。
※週刊ポスト2018年10月5日号