この「危険を防止するため必要と認める場合」については、公安委員会が告示で場所を決めています。該当する道路の工事現場には必ず有資格者がいなくてはなりません。そして、交通誘導にあたる警備員は合格証明書の携帯が義務付けられており、誘導が危険と思えば、証明書の提示を求めて確認することもできます。また、1人以上ですから、資格のない誘導員が手伝っている場合も考えられ、その状況は有資格者の監督が不十分ということになるでしょう。
そのせいで不適切な誘導があり、事故が起きた場合、誘導した警備員に不法行為責任が、警備業者には使用者責任があります。さらに工事業者が警備員に対し、事実上の指揮命令をしていれば、同様に使用者責任を負うことになります。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2018年11月2日号