街に出れば、道路工事や建築物の工事現場でドライバーや歩行者の安全を確保する交通誘導員の姿を見ることは珍しくないが、危なっかしい動きを見せる交通誘導員がいた場合、従事させている会社に責任はないのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
道路工事に疑問を感じています。理由はたまに見かける交通誘導員が高齢の方で、危なっかしいからです。そういう誘導員は工事会社から雇われているだけで、たぶん免許的なものを携帯していないはず。それなのに危険な誘導業務を任せているのは工事会社の無責任でしかなく、法にも抵触しませんか。
【回答】
道路工事現場での交通誘導は多くの場合、道路工事業者が依頼した警備業者の警備員が行ないます。警備業法では、建物等における盗難などの事故防止やガードマン等の他、車両の雑踏する場所での事故防止も警備業務としています。
この警備業務は、都道府県の公安委員会の認定を受けた業者でないとできません。その上、警備業法では、特に専門的知識や能力が必要で、万一事故が起きると不特定又は多くの人の生命、身体や財産に危険を生ずるおそれがある場合を特定の警備業務としています。その種別に応じて公安委員会の行なう検定を受け、合格証明書の交付を受けた警備員に従事させることを義務付けています。
その中に「交通誘導警備業務」があります。これは道路又は交通の状況により、都道府県の公安委員会が道路上の危険を防止するため、必要と認める場合に交通誘導警備業務の一級検定合格警備員又は二級検定合格警備員が、交通誘導警備業務を行なう場所ごとに1人以上従事させるものです。