インスタントなら出来上がりまで数分かかるところ、「フリーズドライ」はわずか数十秒。スピード以上に驚くのは、リアルに復元される味と食感だ。
みそ汁やスープのイメージが強いフリーズドライだが、今やパスタにリゾット、カレーや丼もの、デザートまで、“ないものはない”ほどレパートリーは豊富に。種類が拡大し、進化するフリーズドライについて、市場を牽引する“フリーズドライの伝道師”ことアマノフーズの島村雅人さんに話を聞いた。入社以来、開発一筋30余年、技術力は「匠」ともいわれる。
「フリーズドライは、いわば乾いたスポンジの状態。お湯を注ぐと空洞に水分が入りこむので、スピーディにおいしく『復元』します」(島村さん、以下同)
フリーズドライは料理をそのまま小分けして凍結・乾燥させるため、味にごまかしがきかない。また、すべての素材が凍結乾燥可能とは限らず、「チャレンジを繰り返しながら食材や調理方法を変え、いかに美味しく復元させるかが腕の見せどころ」だという。例えば、みそ汁に入れるなすひとつとっても、種類や季節で味はまったく異なる。
「フリーズドライに適した食材がある」と聞くと、海外でも飛んでいき、完成までに1年以上かかった商品もあるという。
「18年前にはどうしても成功できなかったあさりのみそ汁も、今や殻付きで本格的なおいしさをお届けできるようになった。凍結や乾燥の技術も向上し、パッケージもより強化されて、可能性はさらに広がっています。挑戦の日々は続きます!」
丸の内(東京)、横浜(神奈川)、福山(広島)にあるアンテナショップには、アマノフーズの商品約100種類以上がずらり勢ぞろい。小売店などには置いていない通信販売限定商品や、アンテナショップ限定商品もあり、定期的に通うファンも多い。訪れた横浜店は唯一イートインスペースもあり、購入した商品をその場でお湯を注いで食べることも。買い物ついでに立ち寄ればホッと癒やされる。
■フリーズドライのここがスゴイ
【1】栄養価、味は元の料理と変わらない
真空下で高温をかけずに乾燥させる「真空凍結乾燥製法」なので栄養価が損なわれにくく、味や食感も元の料理と変わらない。
【2】お湯をそそぐだけのワンタッチ
お湯を注ぐだけという手軽さ。忙しいときはもちろん、災害時やアウトドアでも、あっという間においしい料理が食べられる。
【3】軽い&長期保存可能
1個あたり約10gと軽量、しかも賞味期限はほとんどが約1年。最近は災害に備えるローリングストック用としても見直されている。
※女性セブン2018年11月8日号