国内

種子法廃止 農家は外資から高い種と農薬と肥料を買わされる

山本有二・農水相(時事通信フォト)

 いま、この国では国民が代々受け継いできた“財産”が次々と外国に売り払われている。今年6月、安倍政権は自治体に公営事業売却を促すPFI法改正案を成立させた。PFIとは自治体が上下水道や空港などの運営権を民間企業に売却してまとまった資金を得るかわりに、料金収入など収益はすべて企業に入る仕組みだ。安倍政権は今後10年間で21兆円分の公営事業を民営化するという空前の払い下げ目標を掲げた。

 その最大の商品が「世界で最も安全で安い」といわれる日本の水道事業だが、主食のコメも“商品棚”に陳列されている。これまで日本のコメ、麦、大豆の3品種は「種子法」(1952年制定)で国が徹底的に保護し、都道府県の農業試験場などで品種改良が重ねられて米だけでも839品種以上の種を安く農家に提供してきた。

 ところが、昨年2月、政府はこの種子法廃止を閣議決定し、国会ではわずか衆参12時間の審議で可決成立した。

 農作物の種子は国家戦略物資だ。世界では米国、ドイツ、中国などの多国籍企業が種子や植物の遺伝情報という貴重な知的財産を片っ端から収集して各国の農業を支配し、ロシアなどは対抗するため種子の自国開発に力を入れている。

 そうした国際的な“種子戦争”の最前線にある日本は、種子の保護をなぜ放棄したのか。「種子法は種を売らせないための非関税障壁だ」という外圧に屈したからだ。

 そればかりか、農水省は都道府県に対し、蓄積した種子の生産技術を「民間事業者に対して提供する役割を担う」という事務次官通知まで出した。貴重な種子の知的財産を多国籍企業などに「無料で与えなさい」というのである。山田正彦・元農水相(民主党政権時代)が語る。

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