谷口智彦参与は日経ビジネス記者出身(共同通信社)
現在の顔ぶれを見ると、役割も出身も様々だ。アベノミクスの金融政策を推進した浜田宏一・米国エール大学名誉教授や国土強靭化の旗振り役として知られる藤井聡・京都大学教授は学者ブレーンの代表格。
一般には馴染みが薄いが、日経ビジネス記者出身の谷口智彦参与は安倍首相が海外で演説する際のスピーチライターで、東京五輪招致を決めた「原発事故の汚染水による影響は完全にブロックされている」という“名演説”も谷口氏の筆とされる。非常勤ながら官邸に毎日出勤し、自民党総裁選をひかえた今年7月には『安倍晋三の真実』を上梓して〈今、安倍総理は世界外交の中心にいる〉と書いた。
一民間人からいきなり官邸に招かれたのが、加藤勝信・厚労相の義理の姉にあたる加藤康子氏だ。安倍首相の父・晋太郎氏の腹心だった故・加藤六月農水相の長女で、産業遺産プロデューサーの肩書きで「松下村塾」など九州・山口の近代化産業遺産の世界遺産登録をめざす運動を行なっていたときに、内閣官房参与に抜擢された。
本人は安倍氏とは「幼馴染み」と語っている(*注)。現在では加藤家の地元・岡山で「康子さんを通せば陳情が官邸に届く」(地元議員)といわれるほど政権中枢に太いパイプを築いている。
【*注/『週刊新潮』(2015年5月21日号)で「私は(加藤)勝信さんよりも、安倍さんの方が話し易い。幼馴染みですから」と語っている】
昨年の総選挙で落選した西川公也・元農水相、前回参院選で落選した荒井広幸・元参院議員も内閣官房参与に起用されている。落選議員の“失業対策”とみられても仕方がない。
※週刊ポスト2018年11月23日号