中国政府は10月末、1993年に発動したサイの角やトラの骨の取引禁止措置を25年ぶりに撤回して、科学的研究や医学研究、治療などに限って、それらの売買を認める方針を明らかにした。これに対して、世界自然保護基金(WWF)は「トラとサイの破滅が進むことになる」などと懸念を表明。ネット上でも「中国政府は金を儲けようという業者の圧力に屈した」などの声も出ている。BBC放送などが報じた。
トラとサイは国際自然保護連合(IUCN)が定める野生動物の絶滅危惧種に入っており、世界中の生存する野生のトラは2154~3159頭と推定されている。
サイは約3万頭で、5種類のサイのうち、クロサイ、スマトラサイ、ジャワサイは「絶滅寸前」、インドサイは「危急」、シロサイは「準絶滅危惧」とそれぞれ分類されている。
このような状況下、中国政府は「医療などの目的外での売買や使用については規制を強め、取引量を厳しく管理する方針」であると発表。具体的には以下の規定が適用される。
【1】科学的研究でトラやサイを使用する場合は、当局の承認が必要であり、トラやサイの皮膚、その他の組織、器官の検体は、一般公開の目的を除いて使用できない。
【2】医学研究および治療で使用するサイの角やトラの骨は、人工的に飼育・繁殖された個体に限られる。
【3】医薬品として、サイの角やトラの骨を粉末状にしたものは、国家中医薬管理局が認めた医療機関で、特別に認証された医師のみが使用できる。
【4】文化財としての販売や輸出入する場合や、文化交流のための提供する場合には、文化観光部と国家文物局の承認が必要──などというもの。