S・ジョブズのスタイルは「普通の人」がやってはいけないファッションだそうです AP/AFLO
「シャツにデニムやチノパンというシンプルなスタイルだからこそサイジングが重要になるのに、袖丈も着丈も胴回りも、とにかくサイズ感がおかしい! そもそも、特別仕事ができるわけでもない普通の人がスティーブ・ジョブズのマネをしても……。せめて服装くらいは年相応にしっかりしていてほしいものです」(20代女性)
おじさん世代と若者世代の差がはっきり現れるのが歌だ。カラオケについても苦情が寄せられた。
「職場の忘年会の二次会でカラオケに流れたときのことです。40代後半の上司が、若者ぶってか、明らかに下の世代が聴くKANA-BOONを予約して、結局サビしか歌えなかった。素直にサザンとかミスチル歌っていればいいのに。メロディーだけが流れるカラオケを盛り上げなくてはいけない若手の気にもなってほしい。だから職場のカラオケってイヤなんですよ」(20代男性)
いやはや、ごもっとも。なぜ我々大人はこうも過ちを犯してしまうのだろうか。労働社会学者の常見陽平氏は、「昔おっさんをディスっていた人が、今自分がおっさんになっているということに気づいていない」と看破する。
「昇給や昇進・昇格などのルールが変わり、これらが必ずしも加齢と連動しなくなっています。
そのため、自分が古くなっていることに気づけない人が増えているのです。昔に比べて大人が若くなったのは事実ですが、“あんな大人イヤだな”と思っていた大人に自分たちももうなっているんです。
付言するならば、現代は世代間だけでなく世代内ですらギャップのある時代。世代間の対立ではなく、人それぞれの解釈の問題だったりします。様々な価値観があることに皆戸惑っているのです」(常見氏)
大人と若者が違うのは仕方ないこと。さらには大人だって若者だって様々なタイプがいて、多様な価値観を持っている。我々はせめて己を客観視し、勝手に「若者像」を抱いて無用に迎合することを避けるしかないようだ。
●取材・構成/HEW
※SAPIO2018年11・12月号