綿密に相手打者の対策を練る森と高谷(撮影/藤岡雅樹)
「映像だけは撮影していますが、専門のスコアラーを先乗りでは派遣していません。その分、時間と労力を選手とのやり取りに割くべきだという考え方からです」(関本氏)
関本氏たちが分析したデータを実際に選手に伝えるのが、現在のスコアラーの役目になった。必ず、選手とは1対1で会話をするように努めているそうだ。
「同じ投手でも打者によって攻め方は変わる。打者の力量によって、その対策も変わる。だから全体ミーティングは滅多に開きません。6年前に私がホークスに来た時、スコアラーたちにはデータが100あったとしたら、選手にはまず10だけ伝えてほしいと指示しました。理解してもらえなければ意味はありません。いつか30とか、最後は100のレベルのやり取りが選手とできればいい。
ただ、スコアラーは選手からの質問に備えるために、常に100を準備しておく必要がある。そこを徹底するようにしました。最近、スコアラーとして重要な能力は、データを解析する力より、コミュニケーション能力なのでは……と感じることがありますね」(関本氏)
取材・文■田中周治
※週刊ポスト2018年12月7日号