工藤公康一覧

【工藤公康】に関するニュースを集めたページです。

球界の大物たちが「銀座の夜」の思い出を振り返る(写真はイメージ)
「打倒巨人」が合言葉だった 昭和のプロ野球選手、銀座での「夜の延長戦」
 昭和20代頃から日本一の繁華街として“男たちの憧れ”だった銀座。文壇や政財界の関係者が多い銀座はスポーツ選手にとってはハードルの高い場所だったが、それでも一流のプロ野球選手は銀座を愛した。中でも人気だったのが、直木賞作家の山口洋子が率いる「姫」。球界の大物たちが思い出を振り返る。 * * * 1983年の日本シリーズで巨人を4勝3敗で破って日本一になった西武ライオンズ。埼玉・所沢の西武球場(当時)横の特設会場でビールかけを終えた東尾修、田淵幸一、大田卓司、永射保、工藤公康ら主力選手たちの姿は、東京・銀座にあった。そう、二次会の場所はクラブ「姫」である。主力として日本一に貢献した山崎裕之もその宴に参加したひとりだった。「私はお酒があまり得意じゃないですが、初めて巨人に勝って日本一になったので、1度だけ『姫』に繰り出したんです。みんな大喜びで羽目を外して、今やソフトバンクの監督をしている工藤公康が酔っぱらって床に大の字になって寝ていたという記憶があります。 銀座が好きな東尾や田淵たちが仕切ってくれていた。我々はついていくだけでしたが、『姫』のママの山口洋子さんが西武ライオンズの“私設応援団長”として有名だったこともあり、その時は『姫』が貸し切りだったと記憶しています」 当時、プロ野球選手にとって銀座で飲めるというのは「一流」の証だった。「特に関西から遠征に来たチームの選手は地方では遊べないので羽を伸ばす意味合いもあったようです。銀座好きで有名な選手が打席に入ると、“銀座が終わっちゃうぞ”というヤジが飛び、つい笑ってしまうこともありましたね」(山崎)「巨人に勝ったら銀座」 銀座への“はやる気持ち”は身内からもぶつけられた。ヤクルトの元エース・松岡弘はこう証言する。「ボクが入団した当時のサンケイは凄かった。個性的で我が強い選手ばかり。特に内野手は個性的で、マウンドでモタモタしていると、四方から“打たせろ”“ストライク投げろ”とうるさい。9時を過ぎると“約束してるんだから早く試合を終わらせろ”としょっちゅう小石が飛んできました」 カミソリシュートを武器に“巨人キラー”の異名をとった大洋ホエールズ(現DeNA)の元エース・平松政次も銀座に足繁く通った選手である。「ボクもよく銀座には足を運びました。後楽園で(巨人戦に)勝って銀座に行くのが目標だったからね」 しかし、巨人の人気が凄まじかった当時、他球団の選手が気持ちよく酔うためには、「巨人に勝った」という“切符”が必要だった。「負けたら? 行かないですよ。みっともない。巨人に勝って店に行くと、“今日はいいピッチングだった”とお客さんから声をかけられて、それを励みに野球をやっていたようなもの(笑)。(大洋の本拠地である)川崎球場でも巨人戦で勝つと銀座まで遠征していた。とにかく巨人、巨人、巨人の時代でした」(平松) 当然、人気球団である巨人の選手たちも銀座の常連であった。しかし、彼らに試合の勝ち負けは関係ない。「よく巨人の選手に会いましたよ。柴田(勲)さん、末次(民夫)さんあたりは、勝っても負けても行っていたんじゃないかな。行くたびに会ったよ。ボクは巨人戦に勝った時しか行かないから、巨人は負けているということだからね」(平松)小林旭もいた“世界の王”もこんなエピソードを残している。「王(貞治)さんが寮に入っていた時代、寮長の奥さんが夜10時の点呼に行ったら王さんがスーツを着て寮の雨戸をはめていた。こっそり抜け出して銀座に行こうとしていたんです。奥さんが“王君、どうしたの?”と声をかけると、王さんは“雨戸が壊れているので直しているんです”と答えたそうです」(元巨人担当記者) 巨人と対戦できるのはセ・リーグのチームだけ。当時は交流戦もなく、オールスターや日本シリーズで負かすしかなかった。「巨人戦に勝つとタニマチと呼ばれるスポンサーが銀座に招待してくれるんですよ。大洋の先輩だった長田(幸雄)さんや近藤和(彦)さんも後楽園でホームランを打った日は銀座に出掛けていましたね。 当時は銀座といえば『姫』でした。『姫』に行くと小林旭さんといった芸能界でもトップの人に会えた。ママの山口洋子さんに名前を覚えてもらって初めて一流選手の仲間入りじゃないですかね。ボクは山口さんから声をかけてもらって嬉しかった」(平松) 最後にこう総括した。「最近は銀座と野球選手はあまり話題にならないが、当時はママだけでなく粋なホステスも多かったからね。ああいう時代は二度と来ないだろうな」文/鵜飼克郎※週刊ポスト2021年9月17・24日号
2021.09.15 11:00
週刊ポスト
ここから巨人の巻き返しなるか?(写真は昨年の日本シリーズ。時事通信フォト)
連敗は14でストップ 巨人はソフトバンクへの苦手意識をどう払拭するか
 5月30日、巨人が4対3で勝ち、オープン戦、交流戦、日本シリーズと続いていたソフトバンク戦の連敗を14でストップさせた。この日は、初回に新外国人スモークの先制2点タイムリーが生まれ、同点の5回には4番の岡本和真が勝ち越しソロ。8回にはスモークの1発も飛び出し、7投手のリレーで辛くも逃げ切った。 28日からのソフトバンクとの3連戦で巨人は10得点を挙げたが、生え抜き選手の挙げた打点は岡本和真のソロホームランのみ。新外国人のスモークが3打点、西武、オリックスとパ・リーグ経験者の中島宏之が2打点、昨年6月に楽天から移籍してきたウィーラーが2打点だった(残りの2得点は相手の失策絡み)。つまり、8打点中7打点は“移籍組”の選手から生まれたものだ。連敗を脱した5月30日のスタメンの生え抜き選手は先発投手の戸郷翔征、吉川尚輝、岡本、松原聖弥の4人だけ。1番に抜擢されて2安打の石川慎吾は日本ハム出身、マスクを被って好リードの炭谷銀仁朗は西武出身だった。プロ野球担当記者が話す。「苦手チームに勝つ時は、今までの連敗と縁の薄い選手が活躍するもの。振り返れば巨人は1990年に西武に日本シリーズで4連敗し、前後のオープン戦でも全く勝てない時期がありました。いわゆる西武コンプレックスを吹き飛ばしたのは、その頃を知らない選手たちでした」(以下同) 巨人は1988年4月3日の12球団トーナメントの決勝でガリクソン-鹿取義隆の完封リレーで西武に4対0で勝利したのを最後に、1989年から1992年までオープン戦、日本シリーズ含め、14連敗を喫していた。奇しくも、今回の対ソフトバンクの連敗数と同じ数だった。 オープン戦では1989年から2年連続で2敗ずつ、4試合とも1得点の貧打に泣き、1990年の日本シリーズでは完封負け2つの4タテを食らう。選手会長の岡崎郁が「野球観が変わった」というほどの衝撃だった。巨人は完全に西武に苦手意識を持ったのか、その後2年間のオープン戦でも6戦全敗と負け続けた。西武戦の苦手意識を持たなかった移籍組 長嶋茂雄監督が就任した1993年、ようやく連敗が止まる。西武球場で行われた3月20日のオープン戦、先発の槙原寛己が6回1失点と好投。4回にヤクルトから移籍の長嶋一茂が同点打を放つと、7回に駒田徳広のソロで勝ち越し。8回には原辰徳、9回には古巣相手に大久保博元がアーチをかけ、最後は石毛博史が締めて4対1で勝利をもぎ取った。 この日は試合前のミーティングでチームリーダーの原が『今日は絶対に勝とうぜ』と喝を入れ、試合後に長嶋監督が『7回1死満塁、元木のところで代打・岡崎を出すべきだった。俺のミスだな』と語るなど、オープン戦にもかかわらず本気で勝ちに行っていた。「この年、巨人は西武とのオープン戦6試合に3勝2敗1分と勝ち越し。翌1994年は3勝1分と負けなしでした。同年、中日との同率で迎えた最終戦の『10.8決戦』に勝って優勝し、日本シリーズで初めて西武を破った。『10.8』の勢いも大きかったが、オープン戦で西武への苦手意識が消えていた影響も少なからずあったでしょう」 1993年の対西武2戦目では長嶋一茂が工藤公康から勝ち越し2点タイムリーを放ち、4対1で勝利。2勝2敗1分で迎えた6戦目の3月29日には、1990年の4連敗を知らない元木大介が初回にモスビーを三塁に置いて先制タイムリー、4回には2死満塁からレフトオーバーの勝ち越し2点タイムリーと3打点を叩き出し、7対3で勝利。オープン戦とはいえ、対西武戦の勝ち越しを決めた。 1994年のオープン戦では、3月20日の初戦は中日からFA移籍の落合博満、新外国人コトーが1打点ずつを挙げ、2対2の引き分け。21日には4回に原、大森剛の連続タイムリーで逆転し、7対1で快勝。27日には、工藤公康から落合が先制アーチ、コトーが勝ち越し2ランを浴びせ、13対2と圧倒。28日は、新外国人グラッデンが先頭打者ホームラン、7回には落合が4点目のタイムリーを放ち、4対3で勝った。「1993年は移籍組の一茂、大久保、若手の元木という空気に飲まれない選手たちの活躍があった。1994年は西武コンプレックスを持たない落合やコトー、グラッデンという新戦力が貴重な一打でチームを勢い付かせた」次の対戦では生え抜き選手の奮起に期待 屈辱に塗れた生え抜き選手も、悔しさを忘れていなかった。1987年の日本シリーズ第6戦の8回裏、センター前ヒットで1塁ランナーの辻発彦にホームインを許した時、中堅手のクロマティのカットマンに入っていたショートの川相昌弘は、1994年3月20日のオープン戦で雪辱した。1回裏1死一、二塁の場面で、落合がセンター後方にフライを打ち上げると、二塁走者の川相は一気にホームインしている。「今の選手たちも昨年、一昨年の2年連続日本シリーズ4連敗という悔しさは胸に残り続けている。14連敗を止めた試合はスモークの活躍に助けられましたが、怪我で離脱中の坂本勇人を始め、この日決勝ホームランを放った岡本も1本だけで満足するはずもない。1勝でコンプレックスを払拭できるとは思えないが、交流戦で1勝できたことは大きい。 単純に考えれば、中日がソフトバンクに2勝1分だったが、巨人は中日にリーグ戦で勝ち越している。昨年の終盤は巨人が調子を落とし、ソフトバンクが上がり調子で日本シリーズに臨んだことも大きく関係したでしょう。他チームから移籍してきた選手に助けられた分、次の対戦では生え抜き選手がもっと奮起するでしょう」 1994年の巨人対西武の日本シリーズでは、第4戦の9回にデーブ大久保が古巣相手に代打同点アーチを放ったり、王手をかけた第6戦ではコトーが先制の口火となる三塁打、試合を決定付けるホームランを放った。その一方で、1990年の4連敗の初戦に打たれた槙原寛己が2完投勝利でMVP、1勝1セーブの桑田真澄が優秀選手賞に選ばれるなど、移籍組と生え抜きが、戦力としてうまく融合していた。今回は移籍組の活躍でソフトバンク戦の連敗をストップさせた巨人。今後、苦手意識を完全に払拭するためには、生え抜き選手の奮起も必要となるだろう。
2021.05.31 16:00
NEWSポストセブン
日本テレビが巨人戦を地上波中継する狙いは?(時事通信フォト)
日本テレビが巨人戦を地上波中継 視聴率10%超えが合格点か
 6月19日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で遅れていたプロ野球が開幕する。近年では珍しく、日本テレビが開幕戦から5試合連続(ナイター3試合)で巨人主催試合を生中継すると発表された。現段階では19~21日の阪神戦、23~24日の広島戦、そして7月4日の中日戦の、計6試合の地上波中継が発表されている。はたしてその狙いは一体、どこにあるのか。テレビ局関係者はこう語る。「バラエティはロケもままならず、リモート収録にも試行錯誤しており、総集編ばかり流していると、そのうち視聴者に飽きられてくる。プロ野球のみならず、スポーツ自体が開催されていないですし、在宅率もまだまだ高い。総合的に考えて、例年の巨人戦よりは需要があると判断したのでしょう」(以下同) 1983年には平均視聴率27.1%(ビデオリサーチ調べ/関東地区。以下同)を叩き出した巨人戦のナイター中継も、2000年から数字が下落し、2005年には平均視聴率10.2%と過去最低に。翌年から放送数は減っていき、昨年は数えるほどしか地上波中継がなかった。「2019年に2ケタを獲ったのは開幕戦だけ。優勝決定試合である9月21日のDeNA戦もBSでの放送に留まりました。昔は30~40%も期待できた日本シリーズでも、4戦中3戦が1ケタになってしまった。視聴率トップを走る日本テレビですが、巨人戦を中継すると、その日は首位から陥落するという事態になっています」 そもそも、巨人戦の視聴率はなぜ2000年頃から下がっていったのか。「2000年はFAで工藤公康というエース、江藤智という4番打者を他球団から獲得し、勝って当たり前の状態で、本当にそのまま勝ってしまった。それまでも清原和博や広沢克己という4番打者がFA移籍してきましたが、思うようには勝てなかった。2000年も序盤はつまずきましたが、夏には独走状態になった。その辺りから数字が下がり始めたんです。それに、毎年のように大型補強を重ねたことも、ファン離れに繋がっていった要因かもしれません」 実は、巨人が9年連続日本一になったV9時代の後半、平均視聴率は20%に届いておらず、V9最後の1973年は16.6%だった。「それが長嶋茂雄監督1年目で最下位に沈んだ1975年は21.5%と跳ね上がった。強い頃より弱い時の方が、数字が上がっていた。第1次長嶋政権の6年間で、最高は3連覇を逃した1978年の24.9%、2番目は江川卓入団1年目で5位に沈んだ1979年の24.6%です。2年とも優勝していません。 1980年代は全て20%を超え、最も良かった1983年は3年目の原辰徳がMVPを獲得し、江川や西本聖などの活躍で優勝しています。ただ、2番目の25.6%を記録した1982年、1984年は共に優勝を逃しています。この頃はFAもなく、若手を育てるしかなかった。その中で、駒田徳広、槙原寛己、吉村禎章の50番トリオなど毎年のように生え抜きが出番を増やしていった。そんな成長過程に、ファンが惹かれていた面もあるでしょう」 今年の巨人はオフのFA補強でロッテの鈴木大地、楽天の美馬学の獲得を目指したが、2人とも他球団に奪われ、獲得は叶わなかった。新加入選手は育成選手を除けば、外国人とドラフト指名のみ。生え抜きの若手にとって、チャンスの年になる。「ファンも生え抜きスターを望んでいる。それは、1970年代後半や1980年代の視聴率からも明らかです。4番・松井秀喜を中心として、若手も台頭した2002年、平均視聴率は前年の15.1%から16.2%と上昇しました。翌年、松井がヤンキースに移籍したこともあって、視聴率は下がっていくのですが……。古いデータですが、ファンが惹かれる要素はそうは変わりません。今年の巨人は4番に岡本和真がどっしり座るでしょう。スタメンに俊足の吉川尚輝や3年目の大城卓三が加わり、昨年同様にベテランの亀井善行が渋い味を出す。そんな試合が常時、地上波で中継されれば、人気も徐々に回復するかもしれません」 多チャンネル化されていなかった1980年代はほとんど巨人戦しか中継されておらず、他球団のファンも巨人戦を見て、応援するチームの途中経過に一喜一憂していた。現在はBSやCSで12球団の試合が放送されており、プロ野球ファンが巨人戦に一極集中することはない。今年の中継で、日テレはどのくらいの数字を取れば合格点になるのか。「今は地上波全体の視聴率が下がっているので、昔のような20%は誰も求めていない。6月第1週の日テレのゴールデン帯の世帯視聴率は11.5%です。この辺りが基準になるでしょう。 最近3年間の開幕戦は2019年10.6%、2018年9.2%、2017年10.7%と2ケタ前後になっています。昨年8月29日に松井秀喜、高橋由伸という豪華解説陣を迎えた広島戦でも6.7%だった。この数字では、厳しいでしょう。 ナイター中継はまずは平均10%超えを目指したい。ナイター3戦とも12%以上を取ったら、巨人戦中継も増えていくかもしれません。テレビは視聴習慣が大きいので、本気で巨人戦で視聴率を取りに行くなら、シーズンを通して放送することが重要です。ただ、近年の状況では、いきなりそう決めるのはリスクが高い。最初に数字が取れれば、コロナ渦も相まって、そんな話が出てくるかもしれません」
2020.06.12 16:00
NEWSポストセブン
プロ野球監督、「評論家から」「コーチから」どちらが有利か
プロ野球監督、「評論家から」「コーチから」どちらが有利か
 新型コロナウイルスの影響で、開幕時期すら危ぶまれている状況だが、今年のプロ野球界には、広島・佐々岡真司氏、ヤクルト・高津臣吾氏、楽天・三木肇氏という3人の新監督が誕生している。いずれも数年間に及ぶコーチ生活を経て、指揮官に昇格した。野球担当記者が話す。「今季、12球団の監督の中でコーチ経験がないのは栗山英樹氏(日本ハム)、工藤公康氏(ソフトバンク)、井口資仁氏(ロッテ)の3人。アレックス・ラミレス氏(DeNA)は2014年に独立リーグの群馬ダイヤモンドペガサスで選手兼任コーチ、翌年にはオリックス巡回アドバイザーをしていました。NPBでの1年間専任コーチを務めていないという点では4人です」(以下同) 逆に言えば、12球団の中で、ラミレス監督を含めて4分の3は指導者を経験してから、監督になっている。かつては長嶋茂雄氏(巨人)や有藤通世氏(ロッテ)のように現役引退後即監督になる場合もあれば、金田正一氏(ロッテ)や鈴木啓示氏(近鉄)、田淵幸一氏(ダイエー)のように引退後、解説者として活動し、コーチ経験なしで監督に就任する人物も多数いた。「昭和や平成の初期までは、指導者としての実力を評価するよりも現役時代の実績や知名度、人気を優先させる傾向が強かった。もちろん、西本幸雄氏(阪急、近鉄)や上田利治氏(阪急、日本ハム)のように、現役時代はスター選手と呼ばれる存在ではなかったが、長年のコーチ生活を経て常勝監督になった人もいますが、そうした監督は少数派でした。一時期、コーチ経験なしで失敗する監督が目立ったこともあり、徐々に変わっていったのでしょう」 現在は少なくなっているが、必ずしもコーチを経験しなければ監督として大成しないわけではない。「ノムさん(野村克也氏)は現役引退後、解説者時代にむさぼるように読書をして言葉を覚え、講演会や解説で話術を磨いた。それが、ヤクルトの監督になった時に生き、1990年代に黄金時代を築けたと語っています。王(貞治)さんは引退後、助監督を3年間務めて巨人の監督になりましたが、5年間でリーグ優勝1回と期待されたほどの成績は残せなかった。のちに、権限のない助監督という中途半端な立場はあまり経験にならず、外から野球を勉強したかったと話しています。解説者生活が勉強になる面は十分あるでしょう」◆コーチを経験しなかった工藤監督、栗山監督ら 一方で、張本勲氏や江川卓氏のように現役引退後、解説者を何十年も続け、一度もユニフォームに袖を通していない大物OBもいる。「著名になればなるほど、コーチ業よりも評論業ほうが儲かる。今は1試合あたりの解説のギャラも減っていますが、それでも講演などもありますし、コーチよりは羽振りはいいはず。監督のオファーなら乗るのでしょうけど、2人とも機を逸した気がしますね。江川さんは長嶋茂雄監督の時に投手コーチとして名前が上がり、第2次原辰徳政権の時にヘッドコーチの噂もありましたが、実現しなかった。本人もコーチではなく、監督として勝負したいと語っていました。今年65歳になりますが、日本の平均寿命も延びていますし、完全に監督の可能性が断たれたわけでもないでしょう。一度、江川監督を見たいファンも根強く残っています」 1988年の引退後、解説者生活を送っていた“ミスター・タイガース”掛布雅之氏は、26年経った2014年から阪神のゼネラルマネージャー付育成&打撃コーディネーター(DC)となり、2016年から2年間は二軍監督を務めた。しかし、一軍監督就任は実現せず。現在は『阪神レジェンドテラー』という肩書きで球団に残っているが、縦縞のユニフォームには袖を通していない。「同じ時代に活躍した岡田彰布さんが引退後、オリックスや阪神の2軍監督やコーチを務め、一度も現場から離れずに阪神の監督になったのとは対照的です。岡田さんは評論家をするよりも、現場にいたほうが指導者として勉強になるという持論です。コーチとして指導者経験を積む、評論家として外から野球を見るという2つの選択は、どちらが正しいかではなく、どちらが自分に合っているかなんでしょう。考え方や取り組み方の問題だと思います。ただ、最近の傾向を見れば、なるべく現場からは離れず、コーチのオファーがきたら素直に受け入れたほうが、いずれ監督になれる可能性は高そうですね」 ケースは減っているものの、コーチを経験せずに、解説者から監督になって結果を残している人物も多数いる。「現在のソフトバンク工藤監督や日本ハム栗山監督は、そのパターンで日本一になっています。星野仙一さんも選手兼任コーチはありましたが、専任では務めていない。しかし、指揮官2年目に優勝をして中日、阪神、楽天の3球団をリーグ制覇に導いた。東尾修さんもコーチ経験はないですが、西武で1997年からパ・リーグ連覇を果たしている。落合博満さんもコーチをせずに監督になりましたが、2000年代に中日の黄金時代を築いています」 引退後、一度もユニフォームを着ていない大物OBが監督を務める姿を見たいファンもいる。現在の12球団監督の結果次第で、時代の流れが再び変わることもありそうだ。
2020.05.06 16:00
NEWSポストセブン
SBバレンティンとデスパイネ、守備はどちらに任せるべきか
SBバレンティンとデスパイネ、守備はどちらに任せるべきか
 2017年から3年連続プロ野球日本シリーズで勝利し、日本一の座についているものの、なぜか2017年を最後にパ・リーグ優勝から遠ざかっている福岡ソフトバンクホークス。2020年シーズンも工藤公康監督が率いるホークスは、戦力補強に余念が無い。 ヤクルトからバレンティン(35)を獲得。9シーズンを日本でプレーし、今季から日本人選手扱いとなるため、デスパイネ(33)、グラシアル(34)と強力打線が組める。元ヘッドコーチの達川光男氏も太鼓判を押す。「リリーフに加え、守備が上手い選手が控えている。6回まで攻撃的なオーダーであとは守備を固めれば逃げ切れます。昨季から一軍登録枠が1人増えたのも大きい」 問題はどちらがDHで、どちらが左翼に入るかだ。「交流戦でデスパイネがレフトについたが、プロの水準とは言い難い。バレンティンもセ球団のコーチから走者が二塁にいたら『レフトの打球は全部ホームに還ってこい』と言われていたほど。どちらにしても大きな不安です」(ソフトバンク担当記者) 外野には日本人の若手も多く、工藤監督の腕の見せ所となる。※週刊ポスト2020年2月14日号
2020.02.04 07:00
週刊ポスト
佐藤浩市と息子の寛一郎(共同通信社)
2世芸能人の売り出し方、「親の名前出さない」に変化
 2世タレントの“売り出し方”の戦略は、時代とともに大きく変わってきた。かつての2世タレントたちは「七光り」を最大限に利用し、いきなり主要キャストとして華々しくデビューするケースが少なくなかった。 高島忠夫・寿美花代夫妻の息子・政宏は、大学在学中に映画『トットチャンネル』で華々しくデビューし、同作で日本アカデミー賞やブルーリボン賞などの新人賞を獲得。弟の政伸も、大学在学中にNHKの朝ドラ『純ちゃんの応援歌』でデビューしている。高島ファミリーはバラエティなどにしばしば一家総出で出演しており、「芸能一家」の「親子共演」は当たり前だった。 しかし、その後は「親の七光り」が本人にとってマイナスに働くケースも増えた。高橋英樹の娘の高橋真麻もその例といえる。「2004年にフジテレビの局アナになりましたが、入局当初から『コネ入社だろ』と言って叩かれ、バラエティ番組などでイジられてばかりで、アナウンサーとしては不遇だった。しかし、2013年にフリーに転身してからは、不遇時代に磨いたバラエティ力を存分に発揮し、今や超売れっ子になっている」(フジ関係者) 松田聖子と神田正輝の娘・神田沙也加も同様だ。「13歳でデビューしたが、ステージでの母子出演も多く松田聖子の娘であることを活用してきた感は否めない。それが視聴者の反感を買ってしまった。2011年末のNHK『紅白歌合戦』に出演し、母子でデュエットした時には親の七光りなどとバッシングを浴びました」(音楽関係者) しかし、そんな神田沙也加も、女優業のかたわら声優の専門学校に通うなど地道な努力を経て、2014年公開のディズニーのアニメ映画『アナと雪の女王』日本語版では、見事に王女・アナ役を射止めた。「映画の大ヒットを引っさげて、その年末には再び紅白に出場し、歌唱力が絶賛された。1回目にバッシングを浴びた“リベンジ”を見事に果たしたかたちです」(同前) あるキー局関係者は「10年前あたりから2世タレントに対する、世間の空気が如実に変わってきた」と語る。「ネット全盛時代になり、『何の芸もないのに』といった2世タレントに対するバッシングが、今まで以上に世間に拡散するようになった。加えて、俳優やスポーツ選手の子供たちが続々と芸能界入りしたことで、よほどの大物の子供でない限り埋もれてしまう。親の名前で一度は使ってみるものの実力が伴わず、すぐに消えてしまうことが増えました」(テレビ局関係者) 一方で、親の名前に頼ることなく、実力をつけて成功する2世が登場してきた。「その典型例が杏と安藤サクラ」だと語るのは、ある芸能事務所関係者。「15歳でモデルとしてデビューした杏は、渡辺謙と母親が離婚で揉めていたこともあって、事務所に『父のことは内緒にしてほしい』とお願いしていたそうです。離婚成立後も、ずっと『渡辺』姓を伏せて活動を続けていました。その結果、朝ドラ『ごちそうさん』でヒロイン役を務めるまでになった」 同じく朝ドラ『まんぷく』で朝ドラ史上初の“ママさんヒロイン”となった安藤サクラも、父親が奥田瑛二、母親が安藤和津という芸能界のサラブレッドだ。「父親が監督を務めた映画『風の外側』で、主演女優がクランクイン直前に降板してしまったために代役としてデビュー。しかし、その後はどんな役柄にも果敢に挑戦して、芝居の実力を磨いてきた。親の七光りではなく、自力で這い上がってきた役者のひとりです」(映画関係者) 現在放送中のドラマに出演する2世タレントには新田真剣佑(父・千葉真一)、池内万作(父・伊丹十三、母・宮本信子)、寛一郎(父・佐藤浩市)、趣里(父・水谷豊、母・伊藤蘭)、三浦貴大(父・三浦友和、母・山口百恵)、工藤阿須加(父・工藤公康)らがいるが、そうした若手俳優のなかでも、寛一郎は父・佐藤浩市の名前を伏せたまま2017年にデビューし、同年公開の映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で日本映画批評家大賞の新人男優賞、2018年公開の映画『菊とギロチン』でキネマ旬報ベスト・テン新人男優賞に輝いた実力派だ。 寛一郎という名前だけの芸名についても、インタビューで「親父のイメージがあるから、佐藤はつけたくなかった」と語っている。父の佐藤浩市も「三國連太郎の息子」というレッテルに苦しんだ経験からその姿勢を認めているという。 新田真剣佑も「世界のサニー千葉」の息子だが、芸名はあえて「千葉」姓を外した。「真剣佑も本格的なレッスンを受け、舞台や映画の端役で実績を作ってから抜擢されている。親の七光りだけでは長続きしないし、そのほうが『あんな有名人の子供なのに、努力してきたんだね』と、視聴者の共感も得やすいんですよ」(芸能事務所関係者) 渡辺徹・榊原郁恵夫妻の息子の渡辺裕太のように、「親子共演NG」を貫いているケースもある。◆テレビ局の“大人の計算” いくら親が有名人でも、実力がなければ認められなくなってきた2世タレント。だが、その他大勢の役者やタレントに比べて、彼らに大きなアドバンテージがあることも、紛れもない事実だ。「本人が親の名前を隠していても、局側は事務所から親のことを聞かされているもの。タイミングを見計らって“実は誰々の子供だった”ということを明かせば、親のファンは必ず注目してくれるし、逆にそこまで親の名前に頼ろうとしなかった姿勢をアピールすることで、視聴者からの好感度を上げることもできますからね」(テレビ局関係者) いつの間にか2世タレントが大量に出演しているその背景には、こんな“大人の計算”もあるようだ。 夏クールのドラマでも、『ノーサイドゲーム』(TBS系)に千葉真一の息子・眞榮田郷敦(まえだごうどん・新田真剣佑の弟)が出演。杏が主演を務めた『偽装不倫』(日本テレビ系)では、その杏の恋人役を『島唄』で知られる歌手、宮沢和史の息子・宮沢氷魚(ひお)が演じた。NHKの前の朝ドラ『なつぞら』にも、哀川翔の娘・福地桃子がヒロインの親友役に抜擢されるなど、たしかに2世タレントの勢いは凄まじい。2世タレント事情に詳しいコラムニストの山田美保子氏はこう語る。「日本人は家系図を大切にする文化があるし、その子の親と比較して、ああだこうだ言うのが好き。恵まれた環境にいる2世が親に頼らず努力している姿は、見ていてドラマがある。 もちろん長嶋一茂や石原良純のように思いっきり七光りを隠さない天真爛漫な2世を見ているのも、バラエティ的には楽しいのですが。役者に限れば“ストイックな2世”が求められる時代になってきました」“隠れ2世”ブームはまだまだ続きそうだ。※週刊ポスト2019年11月29日号
2019.11.19 11:00
週刊ポスト
水谷豊・伊藤蘭夫妻の娘の趣里(写真/時事通信フォト、共同通信社)
新田真剣佑、池内万作、趣里ほか ドラマ席巻の2世タレント
 日本を代表する名俳優たちの「子供たち」が、現在放送中のテレビドラマを席巻している。『同期のサクラ』(日本テレビ系)には千葉真一の息子・新田真剣佑、『チート』(同)には宮本信子と伊丹十三監督の息子・池内万作が出演。 さらに『グランメゾン東京』(TBS系)には佐藤浩市の息子の寛一郎、『モトカレマニア』(フジテレビ系)には水谷豊・伊藤蘭夫妻の娘・趣里、『ひとりキャンプで食って寝る』(テレビ東京)にも三浦友和・百恵夫妻の息子・三浦貴大がキャスティングされた。 ちなみに、『ニッポンノワール―刑事Yの反乱―』(日本テレビ系)にはソフトバンク監督・工藤公康の息子・工藤阿須加も出演中。そうとは知らずにドラマを観ていた視聴者も多いのではないだろうか。「以前は2世タレントといえば、親の存在をフル活用して売り出すのが常だったが、近年は逆に、親の名前を隠すケースが目立つ。これまでと違い、親のファンを取り込もうとするのではなく、2世タレント個人にファンがついている。 親が誰かということに関係なく、ひとりの俳優、タレントとして応援しているファンが多い」(テレビ局関係者) 例えば真剣佑のファンのなかには、「千葉ちゃんの息子」という認識はもはやなく、千葉のほうを指して「マッケンのパパ」という若者も多いという。 2世タレントの“売り出し方”の戦略は、時代とともに大きく変わってきているようだ。 ※週刊ポスト2019年11月29日号
2019.11.18 16:00
週刊ポスト
データ活用が優勝につながった(撮影/山崎力夫)
SBホークス3連覇支えたキーマンが語る「データ野球」の秘密
 2019シーズンのプロ野球は、ソフトバンクホークスの日本シリーズ3連覇で幕を閉じた。読売ジャイアンツを4勝0敗で退け、CSファーストステージ第2戦から破竹の10連勝。この短期決戦の圧倒的な強さを支えたのが、12球団一といわれるチーム戦略室の存在だ。どのようなデータを準備し、それがどう結果に反映されたのか。チームのデータ戦略のキーマンである関本塁・データ分析担当ディレクターに、ホークスの誇るデータ野球の真髄を聞いた。 現代野球において、データの存在価値は年々高まっている。日本プロ野球界の中で、そのデータを最も有効に活用しているチームが、福岡ソフトバンクホークスだ。 投球や打球の回転数などを測定できる「トラックマン」はもちろん、「ファストモーション」と呼ばれるAIトラッキングシステムを本拠地ヤフオクドームに導入。メジャーリーグと同レベルのデータを計測できる仕組みが築かれている。 野球におけるデータには、さまざまな種類があり、使用目的も分かれている。その中で「短期決戦」において重要となるデータとは──「一言でまとめれば、相手チームや選手の傾向ですね。たとえば、相手バッテリーの配球にどんな傾向があるのか。相手打者の得意なコースはどこか。逆に苦手な球種は何か。そういうデータです」(関本氏)。 ただ、こうした相手チームの分析は、野村ID野球の時代からすでに行なわれてきた。従来のものと、ホークスのデータ分析はどこが違うのか。「一概には比較できませんが、 データを効率よく蓄積できることによって、以前より精度が上がっていると思います」 たとえば、相手投手を分析する時、ホークスでは、2つの視点からその特徴や傾向を探っていくという。「一つは、球種を軸とした分析方法ですね。特定の投手のすべての投球データを球種ごとに振り分けると、傾向が見えてくることがあるわけです。たとえばジャイアンツでいえば、『菅野投手が左バッターに対して、ある球種を投げるときは、ほとんどこのコース』とか、『山口投手がこの球種をこのコースに投げてきた場合はほとんどボール』というもの。交流戦もありますし、来年の日本シリーズで再びジャイアンツと対戦する可能性もあるので、あまり詳しくは語れませんけどね」 ホークスでは、これらの分析のために専用の解析アプリケーションを作成している。まず、トラックマンのデータと映像データを基に、その投手の全投球を、捕手から見たストライクゾーンのチャート上に点で配置。球種別に色分けもされており、視覚的に認識しやすい工夫も成されている。 そこからさらに分かりやすくするために、球種ごとのデータを抽出。ストレート、スライダー、カットボール、ツーシームなど球種別にそれぞれ、ストライクゾーンのチャートで表示できる。また選手は、球団がライブリッツ社 (スポーツのデータ分析を得意とするIT企業)と共同で開発した専用アプリケーションを通して、それらのデータに24時間アクセス可能だ。 今回特別に、「写真は撮らない」という条件でデータアナリストと首脳陣だけが共有する分析チャート画面をタブレットで見せてもらった。そこには日本シリーズ前の過去数試合で、ジャイアンツのある主力投手が投じたある球種のチャートが、ストライクゾーンを9分割した中のある1か所に固まって表示されていた。 二つ目の視点は、打者ごとの分析だ。「こちらはオーソドックスな分析です。たとえば、直近のセ・リーグのCSで阪神の近本(光司)選手にこういう攻め方を続けていた……という傾向を読み取れたら、ウチの似たようなタイプの選手にも同じ攻め方をしてくるのではないか。そういう分析をして、情報として選手に提供したわけです」 こちらのデータに関しても、解析アプリ上で、ある打者に対してジャイアンツ投手陣がどのような配球をしたか、一目でわかるチャートが表示されるようになっている。 12球団一といわれるホークスのデータ戦略は、最新技術によって支えられている。その優れた分析能力でジャイアンツの選手の特徴を掴み、日本シリーズで圧倒したのも納得だ。 しかし、最近は日本球界でもデータ野球の重要性が浸透してきており、実際に各球団にデータ解析の部署が誕生している。多少の精度の違いは生まれるかもしれないが、どのチームにも、ホークス並の分析は可能なのではないだろうか。「おっしゃる通りですね。ではウチのどこが優れているか……少なくともホークスでは情報を共有するシステムがしっかりと構築されています。そこが一番の強みでしょうね」 現在、ホークスのデータ分析チームは5名構成。データ分析担当ディレクターである関本氏の下には、野手担当の加藤暁彦、バッテリー担当の吾郷伸之の2人のアナリストがいて、各ミーティングを担当している。「ウチは個別に選手と担当コーチ、アナリストの3人でミーティングを行ないます。その個別ミーティングも全面的に信頼して、加藤と吾郷の2人に任せています。各選手、首脳陣、データ分析チーム、そこでデータをうまく共有できている点が強みだと思います」 たとえば、アナリストが探り出した相手打者の傾向を捕手だけが理解して、リードに生かすのではない。コーチはもちろん、監督や投手もそのデータを把握している。文字通りチーム全体で情報を共有しているわけだ。「たとえば、日本シリーズの時でも、『このバッターの初球は、何から入る?』『このバッターを2ストライクまで追い込んだけど、決め球は?』となった時、ピッチャー、キャッチャー、監督、コーチ、データ班で『せーの!』で答えを出し合ったら、ぴったり一致したと思いますよ」 工藤公康監督が「データを重視するタイプ」で、データに明るい点も、ホークスが短期決戦に強い要因の一つだろう。「毎試合前に首脳陣とデータに関するミーティングを行なったのですが、こちら側から『こういう傾向が……』と示したとき、監督は『うん、そうだろうね』と、既に頭に入っているような反応でしたね。いつ寝ているのか(笑い)」 ただ、こうして分析した対戦相手のデータを生かす上で最も大切なことは、「まずは自分を知ること」だという。「極端な例を出すと、相手バッターがフォークボールに弱い傾向があったとしても、こちらのピッチャーの持ち球にフォークボールがなかったら意味がありません。では、どうするのか? 代用できる球種はあるのか? また、たとえフォークボールを持っていたとしても、最近調子が良くなく、抜けることが多いので、あえて使わない方がいいのではないか……そういうところまで、データ・情報を共有してこそ、有効に活用できるのだと思います。孫子の兵法ではありませんが、『敵を知り己を知れば百戦殆うからず』ですね。その精神が徹底されているのが、ウチのデータ戦略の一番の強みだし、日本シリーズでの強さにもつながったんだと思います」 単純にデータがあればチームが強くなるわけではない。選手たちが、データを生かしたプレーを実現してこそ試合に勝つことができるのだ。では、その手助けのために必要な環境とは──データ分析チームは、そこまで理解した上で情報共有の概念を導入している。ホークスの黄金期は、これからも続くだろう。◆取材・文/田中周治
2019.11.05 16:00
NEWSポストセブン
全試合1ケタ視聴率もあり得る?(巨人・原辰徳監督とソフトバンク・工藤公康監督。写真:時事通信フォト)
王者日テレの足引っ張る巨人戦、地上波ゴールデンから消滅か
  単なる「野球離れ」だけではないようだ。昨日まで放送されていた読売ジャイアンツと福岡ソフトバンクホークスによる日本シリーズのテレビ中継の視聴率が低迷。来季は日本テレビが地上波ゴールデンで巨人戦をさらに減らす可能性があるという。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんがその背景について解説する。 * * * 23日、プロ野球・日本シリーズで福岡ソフトバンクホークスが読売ジャイアンツを破って3連覇を達成し、今シーズンの公式戦がすべて終了しました。 今シーズンの総括に加えて、早くも来シーズンの展望など、さまざまな記事が見られますが、ここ数日の間にテレビ業界内で飛び交っていたのは、「日本テレビがジャイアンツ戦のゴールデンタイム放送をさらに減らすだろう」という噂。 そんな噂が流れている理由は、ジャイアンツが出場したクライマックスシリーズ(以下、CSに略)、日本シリーズの視聴率が低く、後番組にも悪影響を及ぼすなど、テレビ朝日との熾烈な視聴率首位争いに影を落としているから。 日本テレビは現在5年連続視聴率三冠王(全日・ゴールデン・プライム)を獲得しているテレビ業界の絶対王者。とりわけゴールデンタイム・プライム帯に3~4番組並べたバラエティを強みとしています。 そのバラエティを休んでまで、CSや日本シリーズを放送していたのですが、CSは9日(水)の第1戦が7.7%。10日(木)の第2戦は放送せず。11日(金)の第3戦が10.0%。13日(日)の第4戦は放送せずにジャイアンツの勝ち抜けが決まって終了。 続く日本シリーズは、フジテレビが放送した19日(土)の第1戦は8.4%。TBSが放送した20日(日)の第2戦は7.3%。日本テレビが放送した22日(火)の第3戦が9.7%、23日(水)の第4戦が11.8%。「日本一決定の瞬間」を見ようとした人々が終盤に集まったこともあり、最後の第4戦はそれなりの結果を残しましたが、他の試合は厳しい結果だったのです(ビデオリサーチ、関東地区)。◆ラグビー、サッカー、バレーとの明暗「録画機器やネット視聴が定着した今、視聴率なんて重要なのか?」と思う人もいるでしょうが、スポーツ中継は別。ドラマや映画のように、録画やネットでの視聴はあまり期待できず、「リアルタイムで見てもらうことが大前提」、すなわち視聴率が極めて重要なコンテンツなのです。 同じ10月にゴールデンタイムで放送された他のスポーツと比較しても、CSと日本シリーズが厳しい結果だったことは一目瞭然。 日本テレビが放送したラグビーは、5日(土)の「日本vsサモア」32.8%、13日(日)の「日本vsスコットランド」39.2%。 テレビ朝日が放送したサッカーは、10日(木)の「日本vsモンゴル」10.1%、15日(火)の「日本vsタジキスタン」13.5%。 フジテレビが放送したバレーボールは、1日(火)の「日本vsイタリア」10.8%、2日(水)の「日本vsポーランド」10.3%、4日(金)の「日本vsチュニジア」10.5%、5日(土)の「日本vsアメリカ」6.7%、6日(日)の「日本vsアルゼンチン」9.0%、9日(水)の「日本vsオーストラリア」9.0%、10日(木)の「日本vsロシア」10.4%、11日(金)の「日本vsエジプト」11.5%、13日(日)の「日本vsイラン」5.9%、14日(月)の「日本vsブラジル」13.5%、15日(火)の「日本vsカナダ」12.7%。 社会的なブームとなったラグビーは別にしても、2022年のワールドカップに向けた2次予選に過ぎないサッカーと、オリンピックに次ぐ位置づけのワールドカップバレーが、コンスタントに2桁視聴率を獲得しているだけに、プロ野球中継の厳しさが際立ちます。 ただ、この低迷は「単なる野球離れなのか?」とは言えません。 地上波の野球中継におけるメイン視聴者は、「M4層(またはM3+など)」と呼ばれる65歳以上の高年男性であり、その次に一部の「M3層(またはM3-など)」(50~64歳)。その下の「M2層」(35~49歳男性)、「M1層」(20~34歳男性)の野球ファンは、CMが少なく必ず最後まで放送するBS、CS、ネット配信サービスで見ることが多く、地上波の視聴率に関与することは少ないのです。 ターゲット層が狭い上に、メイン視聴者は購買意欲が低いためスポンサー受けが悪く、広告収入につながりにくい。さらにプロ野球は近年、「ホームタウン向けのローカルコンテンツ」という傾向が強くなり、地方では人気コンテンツである一方、都心では「レギュラー番組を休んでまで放送するものではない」と言われているのです。◆国内スポーツはローカルコンテンツに変化 これまで各局は日本シリーズの放映権を得るために、シーズン中からさまざまなチームの中継実績を重ねるなどの努力を重ねてきました。しかし、高額な費用がかかる上に、それに見合う視聴率が得られず、レギュラー番組の休止や放送時間変更という問題点もあるなど、いよいよ地上波ゴールデンタイムでの放送が厳しくなっています。 実際、今年の日本シリーズは第4戦で終了しましたが、ある日テレ関係者から「もし第5戦を放送していても結果は厳しそうだったから、(ジャイアンツが0勝4敗で)負けてホッとしたところもある」という声も聞きました。また、第6戦放送予定だったTBS、第7戦放送予定だったテレビ東京も、同じ心境だったかもしれません。 プロ野球に限らずサッカーのJリーグ、バスケットボールのBリーグなど、国内スポーツは、「自分の好きな競技を選んで、お金を払って楽しむ」という嗜好性の高いコンテンツになりました。スタジアムや体育館へ行ったり、CSや配信サービスで見たり。いずれにしても「地元チームを家族や友人と一緒に応援する」という地域密着の意識が強くなり、「できるだけ多くの人が楽しめるコンテンツをそろえた」地上波ゴールデンタイムで放送するものではなくなっているのです。 ただし、前述したように、各競技の日本代表戦は例外。欧米の人々と比べても、「自国選手が外国人と戦う姿を見たい」「日本代表選手ならひいきのチームに所属していなくても応援する」という人が多く、テレビ局にとっては年齢性別を問わないビッグコンテンツとなっています。 さらに2020年の東京オリンピックは、より多くの競技にふれて魅力を知る絶好の機会。日本人が強い競技を中心に、今後はますますさまざまな日本代表戦を地上波ゴールデンタイムで見られるのではないでしょうか。【木村隆志】コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。
2019.10.25 07:00
NEWSポストセブン
全試合1ケタ視聴率もあり得る?(巨人・原辰徳監督とソフトバンク・工藤公康監督。写真:時事通信フォト)
日本シリーズ3試合連続で1ケタ視聴率、業界に衝撃走る
 まさかの3戦連続、視聴率1ケタを記録してしまった。10月22日、日本テレビ系で放送された巨人対ソフトバンクの日本シリーズ第3戦の視聴率は9.7%(ビデオリサーチ調べ/関東地区。以下同)に終わった。初戦8.4%、2戦目7.3%と今シリーズは1度も2ケタを記録していない。日本シリーズのナイター中継が始まった1994年以降、巨人戦は全て視聴率2ケタを叩き出していただけに、業界への衝撃は大きい。テレビ局関係者が話す。「初戦の19日は裏番組のラグビーW杯準々決勝ニュージーランド対アイルランドが16.5%を取っており、出鼻を挫かれました。そして、第2戦は同時間帯にラグビーW杯の日本対南アフリカ戦がNHKで放送され、41.9%という驚異的な数字を叩き出したため、さらに下がった。過去のシリーズでも3戦目は下がる傾向にある。今年は1、2戦が低かったので相対的に上がっただけで、やはり1、2戦目の数字が低いと3戦目からはあまり期待できないようです」(以下同) それでも、特に強力な裏番組がなかった3戦目の1ケタは特に驚いたという。「2戦目はラグビーの日本戦があったので、日本シリーズが1ケタでもやむを得ないと考えられていました。しかし、3戦目はTBSが19時台『この差って何ですか?』11.6%、20時台『教えてもらう前と後』12.5%、21時台『マツコの知らない世界』11.9%と日本シリーズの数字を上回った。フジテレビも、21時台のドラマ『まだ結婚できない男』は10.0%でした。テレビ朝日は19時からの『林修の今でしょ!講座』の3時間スペシャルで11.0%を取りました」 野球中継は18時から22時過ぎまで長丁場の放送だったとはいえ、他局のレギュラー番組に負けたことになる。「実は、初戦も2戦目もラグビー中継だけでなく、他局のバラエティ番組よりも低かった。ここまで数字が下がって、民放の同時間帯で3位以下になってしまうと、テレビ局にとって日本シリーズ中継の旨みは全くない。各局とも、シーズン中に地上波で何試合か野球中継するのは、日本シリーズの放映権を獲得するため、という側面がある。もし全て1ケタで終われば、テレビ局も地上波のプロ野球中継、日本シリーズ中継を考え直さなければならない時期に来ていると思います」 日本シリーズのナイター中継が始まった1994年以降、全戦視聴率1ケタに終わったことはない。「2010年のロッテ対中日は1、2、5戦目の中継がなく、3戦目が6.8%、4戦目が9.7%でしたが、6戦目は18.9%、7戦目は20.6%まで上がりました。巨人がここから反撃してもつれていけば、この数字を超えることもあるでしょうが、はたしてどうなるか……」
2019.10.23 16:00
NEWSポストセブン
工藤監督の手腕への評価は高いが…(時事通信フォト)
SB工藤公康監督、管理型で反発する選手多いが来季続投は濃厚
 2000年以来となった巨人対ソフトバンクの日本シリーズ。19年前、原辰徳・監督はヘッドコーチとして、工藤公康・監督は投手として、どちらも巨人に在籍していた。時は流れ、2人は押しも押されもせぬ名将となり相見えたが、両チームのベンチ内ではどうやら不穏な空気が流れている。 就任1年目からリーグ優勝を成し遂げた巨人の原監督だが、日本一を目指す戦いの直前に鈴木尚広・一軍外野守備走塁コーチが「一身上の都合」として退団を発表。これまでにすでにファームで6人のコーチが退団になっており、その他のコーチとの関係も円滑とは言えないようだ。 また、巨人の長年の懸案「正捕手問題」も意外な展開を見せている。シーズン序盤から炭谷銀仁朗(32)、小林誠司(30)、大城卓三(26)の併用が続いたが、終盤になって重要な試合での起用が多くなったのが大城だ。若手の台頭はチーム内に軋轢を招きかねない。 不穏な空気は投手陣にも広がっている。不調のエース・菅野智之(29)がチームで浮いているため、「若い選手たちは“(原監督の甥である)菅野さんがいると監督やコーチの愚痴も言えない”と敬遠しているようです」(巨人番記者)という。 対するソフトバンク・工藤監督はどうか。巨人・原監督はCSで絶好調の2番・坂本勇人(30)に送りバントのサインを出す驚きの采配を見せたが、工藤監督の“非情采配”はそれ以上だ。ソフトバンクでコーチの経験もある野球評論家の杉本正氏が言う。「工藤監督はCSで、レギュラーシーズンで5年連続シーズンフル出場している松田宣浩(36)をスタメンから外し、“CS男”と呼ばれたかつての4番・内川聖一にもためらわず代打・長谷川勇也(34)を送った。 長谷川が同点タイムリーを放ち、松田に代わって抜擢された中村晃(29)や牧原大成(27)が結果を残したことで工藤采配は評価されたが、リスクも高かった」 リーグ優勝を逃しながらも2年連続でCSを勝ち抜けたのは、短期決戦の妙を知り尽くした指揮官の手腕によるところが大きい。しかし、工藤政権に強い逆風が吹いているという。ソフトバンク番記者が言う。「管理型で細かいところにまで口を出す工藤監督に反発する選手は多い。昨年までは達川光男・元ヘッドコーチが監督と選手の間で潤滑油となっていたが、達川氏の退団で選手たちとの距離は大きくなっていった。 工藤監督は今季が3年契約の最終年なので、西武にリーグ優勝をさらわれた時点では、次期監督に秋山幸二・前監督を据える人事も進んでいたようです。 秋山前監督は夫人の病気のために勇退したが、その手腕は高く評価されており、人望も厚い。“工藤監督の実績は秋山さんの遺産”と悪し様に言う関係者も少なくなかった。ただ、4連勝での日本シリーズ進出で来季の続投は濃厚となった。選手たちには落胆が感じられます」※週刊ポスト2019年11月1日号
2019.10.22 07:00
週刊ポスト
原監督は就任1年目で日本一を目指す(時事通信フォト)
巨人ベンチ内に不穏な空気 コーチ陣、小林、菅野らに軋轢も
 2000年以来となった巨人対ソフトバンクの日本シリーズ。19年前、原辰徳・監督はヘッドコーチとして、工藤公康・監督は投手として、どちらも巨人に在籍していた。時は流れ、2人は押しも押されもせぬ名将となり相見えたが、両チームのベンチ内ではどうやら不穏な空気が流れている。 原監督にとって自身4度目となる日本一を目指す戦いの直前、鈴木尚広・一軍外野守備走塁コーチが「一身上の都合」として退団することが発表された。 週刊新潮に写真付きで報じられたダブル不倫疑惑が理由と見られているが、本誌・週刊ポストでは2016年1月29日号で、鈴木の妻との離婚トラブルを報じていた。今回の報道はその後日談として報じられたものだった。巨人番記者が言う。「今シーズンからの鈴木氏のコーチ就任は“走塁のスペシャリスト”としての実績を高く評価した原監督直々の指名だったが、一方では私生活のスキャンダルを心配する声もあった。 確かに盗塁数は去年より22増えたが、それは原監督が“走って相手にプレッシャーをかけろ”と選手に自らハッパをかけたから。そんな中で“案の定”のスキャンダル発覚ですから、“原監督は何であんなのを連れてきたんだ”との声も出ている」 就任1年目からリーグ優勝を成し遂げた原監督だが、その他のコーチとの関係も円滑とは言えないようだ。「優勝しても空気は重い。コーチ陣は原監督の顔色を常にうかがっている。ヤクルトを退団した石井琢朗氏が招聘されるという噂もあり、引退した阿部慎之助(40)の入閣も既定路線。これまでにすでにファームで6人のコーチが退団になっており、“尚広の次に去るのは誰だ”と、コーチ陣は日本シリーズの結果より自分たちの進退が気になっている」 巨人の長年の懸案「正捕手問題」も意外な展開を見せている。シーズン序盤から炭谷銀仁朗(32)、小林誠司(30)、大城卓三(26)の併用が続いたが、終盤になって重要な試合での起用が多くなったのが若手の大城だ。 ヤクルト、巨人、阪神で4番を任された野球評論家の広澤克実氏が言う。「ここに来て大城が頭一つ抜け出した。CS阪神戦の第4戦、6回表同点で無死一、二塁という絶体絶命のピンチを、大竹寛(36)を上手くリードして切り抜けた。来シーズン、小林を差し置いて大城が正捕手に座る可能性もある」 しかし若手の台頭はチーム内に軋轢を招きかねないようだ。巨人番記者が言う。「今季の大城は一塁手と捕手でフル回転。原監督から打撃力を買われ“阿部慎之助2世になり得る存在”と目をかけられている。 一方、正捕手だった小林は原監督との相性がイマイチ。“自己管理がなっていない”とグラウンド外の生活態度についても信頼を失っているようで、小林はすっかり落ち込んでいる。 ドラフトでは、大学ナンバーワン捕手で原監督の母校・東海大の海野隆司(22)を上位指名候補にリストアップしていた。結局、海野はソフトバンクに先に指名されたが、小林ら捕手陣に原監督が物足りなさを感じていることがうかがえます」 不穏な空気は投手陣にも広がっている。「例年、シーズン中に何度か“投手会”という集まりが開かれるのですが、今年はまだ開かれていないようです。それは不調のエース・菅野智之(29)がチームで浮いていることが大きい。 投手会は投手陣のガス抜きの意味合いが大きいのですが、若い選手たちは“(原監督の甥である)菅野さんがいると監督やコーチの愚痴も言えない”と敬遠しているようです。菅野と近いのは、東海大の後輩の中川皓太(25)くらいでしょうか」(別の巨人番記者)※週刊ポスト2019年11月1日号
2019.10.21 16:00
週刊ポスト
1987年、巨人と西武の日本シリーズ。工藤公康投手はMVPに輝いた(写真:時事通信フォト)
日本シリーズ、原監督と工藤監督と阿部慎之助それぞれの因縁
 今年の日本シリーズでは、巨人とソフトバンクが19年ぶりに対戦する(2000年はソフトバンクの前身であるダイエー)。前回の2000年はジャイアンツ・長嶋茂雄監督とホークス・王貞治監督という“ON対決”に注目が集まった。 今回は、当時巨人のヘッドコーチだった原辰徳監督、巨人のエースだった工藤公康監督が両チームの指揮を揮う。野球担当記者が話す。「原辰徳は現役時代、日本シリーズに6回出場し、そのうち4回、西武と対戦しています。4番として出場した1983年、1987年、1990年は西武に敗れました。その時に立ちはだかったのが、工藤公康でした」(以下同) 工藤は高卒2年目の1983年こそ第2戦にリリーフ登板しただけだったが、シーズン15勝を挙げて最優秀防御率を獲得して臨んだ1987年は2戦目に完封勝利、5戦目は9回途中からマウンドに上がってセーブ、6戦目は1失点完投勝利と、2勝1セーブで文句なしのMVPに輝いている。1990年は2戦目に先発し、4回途中でノックアウトされたが、西武は4連勝で巨人を撃破した。 日本シリーズでの原の工藤との対戦成績は16打数3安打。打率1割8分8厘、1本塁打、2打点という成績が残っている。原が抑え込まれたイメージが強いが、1994年の第2戦では初回に両チーム通じて唯一の得点となるタイムリーを放っている。このシリーズでの工藤は2戦、6戦に先発して好投したものの、チームは0対1、1対3で敗れ、日本一を逃した。「その工藤も、1999年オフにFAでダイエーから巨人に移籍。2000年にはダイエーを倒して、巨人を日本一に導きました。その年のドラフトで阿部慎之助が巨人に入団しています」 2001年、入団1年目から阿部は開幕スタメンに名を連ね、レギュラー捕手として127試合に出場した。しかし、チーム防御率はリーグワーストの4.45。巨人は連覇を逃した。この年、ケガで1年をほぼ棒に振った工藤とともに、阿部のリード面を批判する声も出ていた。「阿部の2年目以降、英才教育を施したのが工藤でした。キャンプ中にはブルペンで、キャッチングについて『ハッキリ意思表示しろよ!』と怒鳴ったり、オープン戦ではサインの半分以上に首を振ったりするなど鍛えまくった。その甲斐もあってか、阿部はリード面でも成長し、2年目の2002年はチーム防御率もリーグ1位の3.04に上昇。阿部は今でも感謝しているはずです」 この年、工藤は就任1年目の原監督の元で9勝を挙げて日本一に貢献。日本シリーズでも、第3戦に先発して8回を投げて勝利投手になった。 2003年限りで原監督の第1次政権は終了。2006年から第2次政権が始まるが、工藤はケガなどで13試合しか登板できず、3勝に終わった。この年のオフ、FAで巨人入りした門倉健の人的補償として横浜に移籍。ここで、指導者・原辰徳と選手・工藤公康、投手・工藤と捕手・阿部慎之助の関係性は終止符を打った。 かつて選手として日本一を争い、監督と選手として日本一に輝いた経験もある原と工藤が今度は別チームの指揮官として覇権を目指す。今年限りで引退する阿部慎之助は、師匠である工藤と、選手と敵チームの指揮官として相対する。因縁の日本シリーズは10月19日に開幕する。
2019.10.18 16:00
NEWSポストセブン
広島・佐々岡新監督誕生へ 「投手出身」監督の向き不向き
広島・佐々岡新監督誕生へ 「投手出身」監督の向き不向き
 昨季までセ・リーグ3連覇を成し遂げたものの、今季は4位に終わった広島は緒方孝市監督が辞任。佐々岡真司1軍投手コーチが監督に昇格する見込みだ。4日には球団本部長との会談で来季監督を打診され、本人も受諾する以降を示している。 佐々岡コーチは、1990年のプロ入り1年目に13勝17セーブを挙げる活躍を見せ、2年目には最多勝と最優秀防御率、沢村賞、ベストナインを獲得。チームを優勝に導き、MVPに輝いた。2003年には江夏豊氏、大野豊氏、斉藤明夫氏、山本和行氏、郭源治氏に続いて史上6人目となる100勝100Sを達成。2007年の引退後、解説者を経て2015年から2軍の投手コーチとなり、今季は1軍投手コーチを務めていた。 昨今の球界では“投手出身は監督に向いていない”という説も囁かれている。実際、21世紀になってから投手出身の優勝監督は数えるほどしかいない。セ・リーグでは2003年の阪神・星野仙一監督のみ、パ・リーグでは2008年の西武・渡辺久信監督、2013年の楽天・星野仙一監督、2015年、2017年の工藤公康監督。両リーグ合わせて、のべ38シーズンで5例しかない。当の広島でも長谷川良平監督以来、実に53年ぶりの投手出身監督誕生となる。野球担当記者が話す。「よく言われるのは『投手は自分中心の考え方なので監督に向いていない』という理由です。ただ、巨人の藤田元司監督が1989年、1990年と連覇した頃は『投手出身監督は投手心理がわかるので指揮官に向いている』とプラスに考えられていました。現に、1980年代のセ・リーグでは、10年のうち5年は投手出身監督のチームが優勝しています」(以下同) 過去には、“外野手は監督に向いていない”という説もあった。しかし、2015年のヤクルト・真中満監督、2016~2018年の広島・緒方孝市監督とセ・リーグの覇者は昨季まで4年連続で外野出身。パ・リーグの最近10年を見ても、2010、2011、2014年のソフトバンク・秋山幸二監督、2012、2016年の日本ハム・栗山英樹監督と半数は外野出身。秋山氏は現役6年目までは三塁だったが、22年の現役生活で3分の2以上は外野を守っている。「定説は時が経てば変わりますし、あくまで“投手”“捕手”“内野手”“外野手”という4つの属性に分けた場合の傾向でしかない。それよりも、個人の資質がどうか。佐々岡氏は前任の緒方監督ほど闘志をむき出しにするタイプではないので、中には物足りないと捉える人もいるかもしれません。しかし、最近は『俺に付いてこい』と引っ張るタイプだけでなく、日本ハムの栗山監督しかり、巨人の宮本和知投手コーチしかり、選手に寄り添える指導者もきちんと評価されています。佐々岡監督は現代向きの指揮官ではないでしょうか」 選手として優勝も暗黒期も体験し、指導者としても歓喜と辛酸を味わった佐々岡コーチ。球団本部長も「選手を見る目はある。人柄は言うことないし。ピッチャーの能力もある」と評価しており、来季以降の采配に期待したい。
2019.10.06 07:00
NEWSポストセブン
工藤阿須加『なつぞら』イメージそのままファンに神対応
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 明日、最終回を迎えるNHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』で爽やかな存在感を見せている俳優・工藤阿須加(28)が、ドラマでの役どころを裏切らない神対応を見せていた。 9月中旬の午後7時過ぎ、東京・日テレ麹町スタジオ前。この日、スタジオ収録を終えた出演者らが、地下駐車場から次々と出てくるタイミングだった。King&Princeの平野紫耀(22)は事務所スタッフの車両で、フットボールアワーの後藤輝基(45)やアンジャッシュ渡部建(47)、さらに水卜麻美アナ(32)らはタクシーで、それぞれスタジオを後に。そんな中、マネージャーとともに歩いて、しかも番組の一般観覧客と同じ出口から出てきたのが工藤だった。 これに驚いたのが、先に外に出て芸能人の出待ちをしていたと思われる10人ほどの一般観覧客だった。歓声を上げながら「応援しています!」と握手を求めるファン一人一人に、工藤は「ありがとうございます」と丁寧に感謝を伝えていた。あいさつを終えると、目の前にタクシーがいるのに乗り込むこともなく、徒歩で出ていった。番組関係者が語る。「『なつぞら』で工藤さんが演じたのは、広瀬すず演じるヒロインなつの幼なじみで、家族を亡くしたという同じ境遇を持つ“のぶさん”こと信哉。北海道編から出演しており、何かにつけてなつ兄妹に目をかける献身ぶりが、朝のお茶の間をほっこりさせていました。素の工藤さんも、それぞれのスタッフに声をかけてくれる気遣いの人で、現場を明るくしてくれます」 プロ野球の西武、巨人などで投手として活躍、現在ソフトバンクの工藤公康監督を父に持ちながら、父と同じスポーツではなく俳優の道を目指した工藤。2014年のTBS系ドラマ『ルーズヴェルト・ゲーム』で社会人野球の剛速球投手役として注目を浴びてからも、ドラマや映画で演じるのはフレッシュで純粋で、人の良い役どころが大半だ。 木村拓哉(46)主演で来年新春放送のフジテレビ系ドラマ『教場』では、警察官を志す警察学校の生徒役。この日の“神対応”と同じように、当分はファンの期待を裏切らない正統派な役回りが多いかも?
2019.09.27 16:00
NEWSポストセブン

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