「早慶上智」「MARCH」といった、おもに偏差値による大学のグループ分けに代わり、「SMART」という新たなグループが登場し、話題になっている。大学情報に詳しい、大学通信常務の安田賢治さんが指摘する。
「『SMART』は昨年登場した新しいグループで、『MARCH』(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)から中央大と法政大が抜けて、上智大(英語名Sophia University)と東京理科大が入りました。これは名門私立中高の大学合格実績が高い大学を集めたもので、私立では、トップの『早慶』に次ぐ、新たな第2グループともいわれます。
ただし、法政大や中央大も大学改革や新学部開設などで巻き返しを図っており、『SMART+CH』(スマートチャンネル、Cは中央大、Hは法政大)というまとめ方をする場合もあります」(安田さん・以下同)
最近では、大学側からグループ分けを高らかに宣言する場合もある。昨年10月、立教大の郭洋春総長が「確固とした理念や建学の精神があり、カラーが似ている」として上智大、慶應大とともに「RJK」を目指すと宣言した。
ほかにも入試改革を進める大学を集めた「JAW」(上智大、青山学院大、早稲田大)や、地方で勢いのある「東西南北広」(東北学院大、西南学院大、南山大、北海学園大、広島修道大)などが登場している。
新グループが乱立する背景には、従来の序列の崩壊があると、安田さんが続ける。
「昔は偏差値だけが序列を決める物差しでしたが、今はその“物差し”自体が変わってきています。実際、以前は私大2トップとされる早慶に憧れて記念受験をしたり、どうしても合格したくて全学部を受けたりすることもあったが、そのようなやり方をする受験生や親は減っています。
その代わり、偏差値や大学名より、自分のやりたいことに即して志望校を選ぶ受験生が増えている。つまり、世の中は“どこで学んだか”が大事な『学歴社会』から、“何を学んだか”を重視する『学習歴社会』にシフトしたのです」
実際、大手予備校の東進ハイスクールが2018年春に「何を基準に大学を選ぶか」を受講生にアンケートしたところ、トップは「学べる環境・カリキュラム」、「設備・立地」「知名度」が続いた。
同予備校を運営するナガセの常務執行役員の市村秀二さんも、「今は大学名より学部にこだわる受験生が多い」と指摘する。
「勢いがあるのが、グローバルな世の中で国際人として活躍する教養を身につける国際系の学部と、AI時代に活用できる能力や技術を培うことができる情報系の学部です。国際系と情報系の学部は、少子化が進むこの先も新設ラッシュが続きます。注目されるのが、中央大が今年新設する国際情報学部。情報と法律をドッキングさせ、新時代のビジネスに生かせる国際人材の輩出を目指しています」(市村さん)
※女性セブン2019年2月7日号