国内

歌舞伎町「呪いのビル」、1か月で7人が飛び降りる…

現場のビル。階段を上れば屋上に出る

「夜の歌舞伎町では、上を見ながら歩かないと危ない」

 日本一の歓楽街・歌舞伎町(東京・新宿)では、昨秋来、こんな言葉をよく聞くようになった。特に、「呪いのビル」の前では、冬の寒風に身を縮めながら上目遣いでビルの屋上を気にして、足早に通り過ぎる人が多い。

 大理石と重厚感ある石のエントランスが目を引く、高級感漂う8階建てのビル。その屋上から、昨年10月2日、20代の女性が飛び降り自殺を図った。

 午後7時頃、外階段で靴を脱いだ彼女は、腰ほどの高さの手すりを越えて屋上から転落。たまたま下を歩いていた歩行者の男性を直撃した。女性は救急隊の処置を受けたが、間もなく死亡。男性も右腕を折る重傷を負った。

「目撃情報などから事件性はないと判断され、彼女が亡くなった背景はほとんど調べられなかった」(捜査関係者)

 昨秋以来、歌舞伎町で飛び降りが後を絶たない。その多くが若い女性だ。10月のわずか1か月間で、100mほどしか離れていない2棟のビルで起きた飛び降りは、未遂も含めて少なくとも7件。「呪いのビル」。今、歌舞伎町で2つのビルはそう呼ばれている。

 しかし、事件性がない以上、警察は深くは調べないし、大きく報道されることもない。原色のネオンの陰に、人知れず若い命が消えている。

 飛び降りで亡くなった、前出の20代女性は、ホストクラブの常連客だった。まつげが長く目鼻立ちのくっきりした美人。風俗店で働きながら「担当」と呼ばれる目当てのホストに入れ込んでいたという。友人が語る。

「彼女は『メイ』(仮名)という名前で歌舞伎町で遊んでました。ホストクラブに借金が200万円ほどあったみたい。全部、担当につぎ込んだって。メイは担当のことが本当に好きで、彼氏だと思っていたけど、『でも、裏切られたのかな…』って。完全に病んでた」

 女性が飛び降りた理由は借金苦ではなかったと、友人が続ける。

「借金は風俗で働けばすぐに返せる額。それより、何百万円使っても担当が自分のことを“金づる”としか見ていないことに苦しんでた。あなたみたいにキレイなら、何でももっとうまくいきそうなのにって言ったら、メイは哀しそうに笑ってた。『もう、どうしようもないよ』って」

 このビルにはホストクラブやバーが15軒ほど入居する。周辺のビルも似たようなもので、目の前の通りは、通称「ホスト通り」。街では、女性たちの飛び降りとホストクラブを関連付ける声は根強い。

「この街で30年以上暮らしていますが、今は異常事態です。現場の『ホスト通り』は飛び降りで、すっかり有名になりました。自殺騒動が一度起きると、SNSやツイッターで、一瞬にして拡散されていく。すると、悩みを持った人たちが同じ場所で繰り返し、それがまたネットで広がる。今や“自殺の聖地”のような扱いまでされています。夜の街だから、たしかにお金で苦しんで自殺を図る人は昔からいた。でも、ネットは自殺を呼び寄せ、増幅させます」(ホストクラブ幹部の1人)

※女性セブン2019年2月7日号

関連記事

トピックス

岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン