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W杯ブラジルに大敗しピッチで顔を覆った中田英寿の引き際

試合は1対4の大敗だった(時事通信フォト)

 平成のスポーツ名場面・サッカー編。平成18年(2006年)6月22日、当時のことは今に至っても詳述されてはいない──。

 W杯ドイツ大会1次リーグ・ブラジル戦に1対4で敗れたジーコジャパンは、2大会連続での決勝トーナメント進出を逃した。その試合終了後、中田英寿はセンターサークル付近で突然しゃがみ込む。そのまま仰向けになると、両手で顔を覆ったまま10分近く動かなかった。

 全員がピッチから去ると、中田はゆっくりと立ち上がってスタンドのサポーターに手を振った。目は真っ赤に腫れ、交換したブラジルのDFルシオのユニフォームで涙をぬぐった。これまでのシドニー五輪や、過去2回のW杯では決して見せなかった涙だった。

 試合後、中田は「まだまだ力が足りないことを実感した。この結果を受け止めるしかない」と語ったが、涙の真相には触れなかった。その約10日後、中田は引退を表明。日本サッカーを牽引し続けた男がピッチを去った。(敬称略)

※週刊ポスト2019年2月1日号

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